レシピ本や食をテーマにした実用書を制作するとき、出版社の編集者が悩みやすいのが撮影体制の組み方です。
料理家や専門家だけでなく、カメラマン、スタイリスト、撮影スタジオなど、複数の関係者を企画に合わせて手配しなければなりません。
さらに、必要な人を集めるだけでは撮影は円滑に進みません。
企画意図や誌面構成を共有し、それぞれの役割を整理したうえで、撮影当日の進行を管理する編集者が必要です。
この記事では、レシピ本制作に関わる主な専門家と、編集者が担う調整・進行の役割を紹介します。
制作内容が完全に固まっていない段階から、編集プロダクションへ相談する際のポイントも整理します。
記事の目次
レシピ本の撮影は編集者に一貫して任せられる
レシピ本を制作したいものの、料理家やカメラマンの探し方が分からない。
撮影スタジオをどう選ぶべきか判断できない。
そうした場合は、撮影体制の設計から進行管理まで、レシピ本の制作経験がある編集者へ一貫して依頼できます。
編集者の役割は、原稿を整理することだけではありません。
企画のテーマや誌面の方向性を確認し、必要な専門家を選びます。
撮影場所や機材を手配し、各担当者の動きをつなぐことも重要な仕事です。
レシピ本の撮影では、一つの判断が別の工程にも影響します。
たとえば、料理の品数や盛り付け方によって、必要な撮影時間は変わります。
写真の雰囲気によって、カメラマンやスタイリストの選定基準も異なります。
撮影場所の設備によっては、作れる料理や使用できる器具が限られることもあります。
こうした条件を個別に考えるのではなく、企画全体を見ながら組み立てるのが編集者です。
専門家と撮影環境を一体で設計することで、撮影を円滑に進めやすくなります。
レシピ本の制作に関わる主な専門家と役割
レシピ本の撮影には、複数の専門家が関わります。
ただし、すべての企画で同じ体制が必要になるわけではありません。
テーマや予算、撮影する点数、誌面の見せ方に合わせて、必要な役割を見極めることが大切です。
料理家・専門家
料理家や専門家は、企画の中心となるレシピや知識を提供します。
家庭で再現しやすい料理を紹介する本と、専門性の高い技法を扱う本では、適した人材が異なります。
料理の知識だけでなく、読者層や企画の方向性に合っているかも確認しなければなりません。
撮影現場では、料理を作るだけでなく、調理工程や仕上がりを確認する役割も担います。
原稿に掲載する材料や手順と、実際の調理内容にずれがないかを見ることも必要です。
カメラマン
カメラマンは、料理や調理工程を写真で伝える役割を担います。
完成した料理を魅力的に見せる写真と、手順を分かりやすく示す写真では、求められる撮り方が異なります。
誌面の構成に応じて、引きの写真、寄りの写真、真上からの写真などを撮り分けます。
料理写真の実績だけで人選するのではなく、企画が求めるテイストや撮影点数への対応力も重要です。
スタイリスト
スタイリストは、器やクロス、小物などを用いて、料理の見え方を整えます。
同じ料理でも、器や背景の選び方によって印象は大きく変わります。
日常的な雰囲気にするのか、上質な印象にするのか。
企画の読者像やデザインに合わせた判断が求められます。
必要に応じて、食材や小物の準備、撮影中の盛り付け調整なども行います。
撮影スタジオ・機材
レシピ本の撮影では、調理設備を備えたスタジオが必要になることがあります。
コンロやオーブン、冷蔵庫、調理台の有無だけでなく、撮影スペースや自然光の入り方も確認します。
撮影する料理の内容によっては、使用できる熱源や電源の数も進行に影響します。
カメラや照明などの撮影機材についても、企画内容に合った準備が必要です。
手配を個別に進めると確認事項が増えるため、撮影全体を理解した編集者がまとめて調整する方法が有効です。
企画に合う専門家を選ぶには、完成形から逆算する
レシピ本の専門家を手配するとき、知名度や実績だけで決めると、企画とのずれが生じることがあります。
重要なのは、どのような本を作りたいのかを整理し、その完成形から必要な人材を逆算することです。
ただし、発注時点ですべての内容が決まっている必要はありません。
「親しみやすい雰囲気にしたい」「高級感が強すぎる写真は避けたい」「初心者でも作れそうに見せたい」といった要望も、人選を考える材料になります。
反対に、「料理家を紹介してほしい」とだけ伝えると、候補者を選ぶ基準が定まりません。
読者、料理の難易度、撮影したい雰囲気、予定しているページ数などを確認すると、企画に合う人材を絞り込みやすくなります。
編集者は、発注担当者の要望をそのまま専門家へ渡すだけではありません。
曖昧な言葉を整理し、撮影や誌面制作に必要な条件へ置き換えます。
たとえば、「やさしい雰囲気」という要望には、複数の解釈があります。
明るい自然光を使うのか。
家庭にある器を中心にするのか。
盛り付けを作り込みすぎないのか。
イメージを具体的な選択肢に変えることで、関係者が同じ方向を向きやすくなります。
撮影を円滑に進める編集者の仕事
撮影当日、編集者は現場全体の進行を管理します。
料理家、カメラマン、スタイリストがそれぞれ高い専門性を持っていても、作業の順番や判断基準が共有されていなければ、撮影時間が延びる原因になります。
撮影前には、掲載する料理、必要なカット、調理と撮影の順番などを整理します。
誌面の構成を踏まえ、どの写真を優先するかも決めておかなければなりません。
撮影中は、次の料理の準備状況を確認しながら、現在の撮影を進めます。
写真が企画意図に合っているか、必要なカットがそろっているかもその場で判断します。
料理は時間の経過によって見た目が変わります。
撮り直しが難しい料理もあるため、判断を後回しにできません。
一方で、予定した進行を守ることだけが目的ではありません。
実際に料理を盛り付けた結果、別の器のほうが合うこともあります。
誌面で見たときに、予定とは異なる構図が必要になる場合もあります。
編集者には、予定と現場の状況を見比べながら、変更する点と守る点を判断する役割があります。
撮影終了時には、必要な写真がそろっているかを確認します。
あとから不足が分かると、再撮影や誌面構成の変更が必要になるためです。
こうした確認を現場で積み重ねることで、撮影だけでなく、その後のデザインや原稿制作も進めやすくなります。
内容が固まっていなくても相談できる
レシピ本を企画した段階では、料理家も撮影内容も決まっていないことがあります。
この状態で編集プロダクションへ相談してよいのか、迷う発注担当者もいるかもしれません。
しかし、制作内容が完全に固まる前だからこそ、編集者が参加できる部分があります。
まず、企画のテーマや想定読者を確認します。
次に、必要な専門家、撮影点数、スタジオの条件などを整理します。
そのうえで、企画に合う制作体制を組み立てます。
要望が曖昧な場合は、参考にしたい本や写真を共有すると、方向性を確認しやすくなります。
好みの例だけでなく、「このテイストは避けたい」という例も有効です。
発注担当者が感じている小さな違和感が、人選や撮影方針を決める手掛かりになるためです。
相談時には、次の内容が分かる範囲で整理されていると、制作体制を検討しやすくなります。
- 本のテーマと想定読者
- 希望する写真の雰囲気
- 掲載する料理や撮影点数の目安
- すでに決まっている専門家
- 編集プロダクションへ任せたい範囲
- 予算や刊行時期に関する条件
空欄があっても問題ありません。
未確定の部分を明確にすることも、制作設計の一部です。
レシピ本制作で起こりやすい行き違い
レシピ本の制作では、専門家を手配すれば撮影準備が完了するわけではありません。
特に起こりやすいのが、完成イメージの共有不足です。
「おしゃれにしたい」「自然な写真にしたい」といった言葉は、人によって受け取り方が異なります。
撮影後にイメージの違いが判明すると、大きな修正が難しいこともあります。
役割分担が曖昧なまま進めることにも注意が必要です。
食材を誰が購入するのか。
器や小物を誰が用意するのか。
レシピ原稿をどの段階で確認するのか。
細かな担当を決めておかないと、撮影直前に不足が見つかります。
さらに、撮影する順番を料理の掲載順だけで決めると、現場が非効率になることがあります。
調理時間、料理の状態、使用する機材などを踏まえて撮影順を考える必要があります。
誌面の順番と、現場で効率のよい順番は同じとは限りません。
編集者が事前に関係者の役割と工程を整理しておけば、発注担当者も確認すべき点を把握できます。
撮影当日にすべての判断が集中する状態を避けることが、円滑な進行につながります。
まとめ|専門家と撮影環境をつなぐことが編集者の役割
レシピ本の撮影を円滑に進めるには、必要な専門家を集めるだけでなく、企画全体を見ながら役割と工程を組み立てる必要があります。
- 料理家、カメラマン、スタイリストなどを企画に合わせて選ぶ
- 撮影内容に合うスタジオや機材を手配する
- 関係者の役割と撮影順を整理し、現場の判断をつなぐ
制作内容が固まっていない場合も、要望や避けたいイメージを整理するところから相談できます。
専門家のアサイン、撮影環境の準備、当日の進行を一つの流れとして設計することで、撮影を円滑に進め、企画全体を形にしやすくなります。
レシピ本の撮影・制作体制についてご相談ください
株式会社ジー・ビーでは、料理家・カメラマン・スタイリストなどのアサイン、撮影スタジオの調整、撮影当日の進行、誌面制作まで、案件に応じてご相談いただけます。
「まだ料理家や撮影内容が決まっていない」「必要な制作体制から相談したい」といった段階でも、お気軽にお問い合わせください。
- この記事の監修者
-
株式会社G.B.
雑誌・書籍・ムックの編集・出版を中心に、
その他にも広告媒体の企画・編集・制作著作権の管理・運用、翻訳、その他上記に付帯する一切の業務を行う。
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