【図解】一冊の本ができるまでに関わるプロの仕事内容・役割分担一覧

「企画の骨組みから相談したい」「専門分野の知見がないので伴走してほしい」「テーマに合う著者や監修者を探してほしい」。
出版社から編集プロダクションへ寄せられる相談は、案件ごとに異なります。

企画は通ったものの、ここからどう形にすればよいのか分からない。
発売日は決まっているのに、誰へ何を頼むべきか見えてこない。
そんな不安を抱えた段階から相談が始まることも、決して珍しくありません。

一冊の本は、編集者だけで完成させるものではありません。
著者、監修者、ライター、デザイナー、イラストレーター、校正者など、企画に合うプロが役割を分担してつくります。

ただし、関わる人を増やせばよいわけではありません。
企画の目的、読者、予算、納期を踏まえ、誰に何を頼み、どの順番で進めるかを決める必要があります。

本記事では、本づくりに関わるプロの仕事内容と役割分担を紹介します。
書籍やムックの制作を手がけてきた株式会社ジー・ビーの編集チームが、全体をまとめる編集者の仕事まで解説します。

一冊の本をつくるプロと役割分担

完成した本を手に取ると、最初に目に入るのは著者名や表紙です。
しかし、その一冊の裏側では、表には名前が出ない多くの人が動いています。

文章を書く人、専門的な内容を確認する人、写真を撮る人、誌面をデザインする人、誤りを見つける人。
それぞれの仕事が重なり、ようやく一冊の形になります。

その中心に立つのが編集者です。
必要な人を見極めて役割を分け、完成までの流れを組み立てます。

図1 一冊の本をつくるプロたち
著者、監修者、ライター、デザイナーなど一冊の本をつくるプロの役割分担

本づくりに関わる主なプロの一覧

関わる人・会社主な仕事内容・役割
著者自身の知識、経験、考えを本の内容として伝える
監修者専門的な内容を確認し、誤りや不正確な記述を指摘する
ライター取材や資料をもとに、読者へ伝わる文章を書く
編集者企画、構成、スタッフ手配、進行、品質を統括する
デザイナー誌面の見せ方、読みやすさ、世界観を設計する
DTPオペレーター原稿や画像をパソコン上で誌面に組み、修正を反映する
イラストレーター挿絵や図解など、文章を補うビジュアルを制作する
カメラマン人物、商品、料理、施設などを撮影する
校正者誤字、数値、固有名詞、表記や文章の不整合を確認する
印刷会社完成データを印刷・製本し、本の形に仕上げる

料理本ではフードコーディネーター、ファッション関連ではモデルやスタイリストが加わる場合もあります。
毎回同じチームを組むのではなく、企画に必要な人だけを組み合わせます。

本づくりに関わるプロは何をしているのか

著者と監修者は、同じ役割ではない

著者は、本の中心となる知識や経験、考えを提供する人です。
自ら原稿を書く場合もあれば、ライターの取材を受け、文章にまとめてもらう場合もあります。

著者が伝えたいことと、読者が知りたいことが、最初からぴたりと一致するとは限りません。
編集者やライターとのやり取りを重ねるなかで、本人にとっては当たり前だった経験が、本の核になることもあります。

一方、監修者は、主に専門的な内容を確認する立場です。
企画によっては著者が監修も兼ねますが、求められる役割は異なります。

一見分かりやすい表現でも、専門的には言い切れないことがあります。
監修者の指摘を受け、あえて慎重な言い方へ戻すこともあります。
読みやすさと正確さの間で、どこに線を引くかを考える仕事です。

そのため、知名度だけでなく、企画との相性や依頼できる範囲まで確認して人を選びます。

ライターは、情報を読者向けの文章に変える

ライターは、取材や資料の読み込みを通じて情報を整理し、想定読者に合う言葉へ置き換えます。

取材では、最初から整理された答えが返ってくるとは限りません。
話が前後したり、本人もまだ言葉にできていなかったりすることがあります。

ライターは、その話の中から読者に届けるべき芯を探します。
専門家には当たり前でも、一般の読者には難しい内容があるからです。

どの情報を残し、何を補足し、どの順番で説明するか。
単に文章を書くのではなく、読者が理解できる形へ整えるのが役割です。

デザイナーとDTPオペレーターは、情報を誌面にする

デザイナーは、情報の優先順位を視覚化し、読者が迷わず読める誌面を設計します。
タイトル、本文、写真、図解の配置に加え、文字の大きさや余白まで考えます。

原稿だけを読んでいたときには気づかなかった問題が、誌面に組んだ瞬間に見えることもあります。
文字が詰まりすぎている、図が小さくて伝わらない、見開きの流れが途中で止まる。
編集とデザインは、そうした違和感を行き来しながら整えていきます。

DTPオペレーターは、原稿や画像をパソコン上で誌面に組み、校正で出た修正を反映する担当者です。

株式会社ジー・ビーにはデザイン部門があり、編集と早い段階から連携できます。
文章量や図版数に変更が生じた場合も、情報を共有しながら進められます。

カメラマンとイラストレーターは、文章で伝えにくい情報を補う

カメラマンは、企画意図と誌面での使い方を踏まえて撮影します。

同じ人物写真でも、親しみやすさを出したいのか、専門家としての信頼感を伝えたいのかで、構図や表情、背景は変わります。
料理や商品、施設なども、誌面のどこで、どのように見せるのかを考えたうえで撮影します。

イラストレーターは、文章だけでは理解しにくい内容を挿絵や図解にします。
親しみやすい表現が向く企画もあれば、構造を正確に示す図版が必要な企画もあります。

どちらも、空いたスペースを埋めるために依頼するものではありません。
読者へ何を伝えたいのかを決め、その目的に合う表現方法を選びます。

校正者は、制作チームとは異なる視点で確認する

制作に長く関わっているほど、書かれている内容を「分かっているつもり」で読んでしまいます。
何度も見た文章ほど、かえって誤りを見落としやすくなるものです。

校正者は第三者の視点から、誤字脱字、数値、固有名詞、表記の揺れ、文章のつながりなどを確認します。

監修者は専門的な内容の正確さを見ます。
校正者は、本全体の整合性や日本語表現まで確認します。
役割が異なるからこそ、複数の目を通す意味があります。

図2 原稿と制作資料を確認する編集担当者
書籍制作の工程表や原稿を確認する編集担当者

編集者の仕事は、必要なプロと工程を設計すること

編集者の役割は、人を集めることだけではありません。
企画の目的、想定読者、ページ数、予算、発売日を確認し、必要な仕事を分解します。
そのうえで、誰に何を頼むかを決めます。

編集者の頭の中には、完成した本だけでなく、そこへ至るまでの順番もあります。

図3 一冊の本ができるまで
企画から発売までの一冊の本ができる7つの工程

誰へ先に声をかけるのか。
どの原稿が決まれば、デザインを始められるのか。
どの段階で監修者の確認を入れなければ、後戻りが大きくなるのか。
表面上は一つの依頼でも、その裏では多くの判断が連続しています。

たとえば、専門的なテーマでも、すべてのページを監修者に書いてもらうとは限りません。
監修者には内容確認を依頼し、ライターが一般読者向けの文章を書く方法もあります。
図解だけを、その分野に詳しいイラストレーターへ頼むこともあります。

編集者が設計する主な項目は、次のとおりです。

  • 誰を読者にするか
  • 本の中で何を伝えるか
  • どのプロが必要か
  • 誰にどこまで依頼するか
  • 原稿、デザイン、確認をどの順番で進めるか
  • 予算と納期の中で何を優先するか

設計が曖昧なまま制作を始めると、途中で必要な人が増えたり、確認待ちで作業が止まったりします。
最初に役割と順序を決めておけば、各担当者が自分の仕事と締切を理解できます。

企画によって、任せられる範囲も変わる

編集プロダクションへの相談は、「一冊すべてをつくってほしい」というものだけではありません。

企画の骨組みから考えてほしい場合もあれば、制作だけを任せたい場合もあります。
専門外の分野なので、内容の具体化から伴走してほしいという相談もあります。
著者や監修者を探してほしいケースもあります。

依頼できる仕事には、次のようなものがあります。

  • 企画の整理と方向性の提案
  • 著者、監修者、専門家の候補探し
  • ライターやカメラマンなどのスタッフ手配
  • 台割(本全体のページ構成表)の作成
  • 原稿制作、編集、デザイン、DTP
  • 校正と修正管理
  • スケジュールと予算の管理
  • 印刷用データの納品

発注前に、すべてを決めておく必要はありません。
決まっていること、決まっていないこと、社内で対応できることを共有すれば、必要な体制を検討できます。

編集プロダクションの役割は、決められた作業を一律に提供することではありません。
案件ごとに不足している機能を見極め、必要な人と工程を柔軟に組み合わせることです。

相談前に整理しておきたいこと

企画が固まりきっていなくても相談できます。
現時点で分かっている範囲で、次の項目を整理しておくと話が進みやすくなります。

  • 企画のどこまでが決まっているか
  • 想定読者、ページ数、発売日、予算
  • 著者や監修者の候補の有無
  • 不足している知見や人材
  • どこからどこまで任せたいか

分からない項目があっても問題ありません。
「何が必要か分からない」という状況も、制作体制を考えるための大切な情報です。

短納期の書籍を2カ月未満で進めた制作事例

制作期間が短い案件では、初動の数日が、その後の数週間を左右します。
最初の判断が一つ遅れるだけで、原稿、デザイン、監修、校正へと影響が連鎖するからです。

株式会社ジー・ビーが手がけた、ある政治関連書籍では、制作開始から納品まで2カ月を切っていました。
企画に合う監修者とライターを、早急にそろえる必要がありました。

ただし、空いている人なら誰でもよいわけではありません。
テーマへの理解、企画との相性、担当できる範囲まで踏まえた人選が必要です。

納期だけを見れば、すぐに原稿制作へ入りたくなる状況でした。
しかし、人選や役割分担が曖昧なまま走り出せば、後半で大きく戻る可能性があります。

そこで、まずは急いで書くのではなく、急いで設計することを優先しました。

最初に企画の方向性とページ構成を整理し、これまでの制作で築いたネットワークも活用しながら、監修者とライターの候補を選定しました。
依頼範囲と確認の順番も、早い段階で決めました。

短納期では、途中で考えながら人を探す時間がありません。
監修者が確認するページ、ライターが執筆を始めるための条件、デザインを並行できる時期まで、初期段階で具体化します。

必要な人と工程を見極めずに走り出すと、確認待ちや差し戻しが増えます。
そのしわ寄せは、後半の校正期間に集中します。

短い期間で進めるには、完成までの道筋を迅速かつ的確に設計し、関係者が同じゴールを共有できる状態を早期につくる必要があります。

図4 短納期でも品質を保つ設計力
人選、役割分担、全体設計、スケジュールなど短納期でも品質を保つための設計

まとめ|一冊の本を完成させるのは、プロをつなぐ設計力

一冊の本は、一人の力だけで完成するものではありません。
異なる専門性を持つ人たちが、それぞれの役割を果たしながら、同じ読者を思い浮かべてつくっていきます。

  • 企画によって、必要なプロと役割は変わります。
  • 編集者は、目的、予算、納期に合わせて制作体制を設計します。
  • 短納期や未確定の企画ほど、初期段階の判断が進行を左右します。

大切なのは、多くの人を集めることではありません。
企画に必要な人を見極め、誰に何を頼み、どの順番で進めるかを決めることです。

編集者の仕事は、それぞれの力をただ集めることではなく、迷わず動ける形につなぐことです。

株式会社ジー・ビーでは、企画の整理から制作全体の進行まで対応しています。
著者・監修者の候補探し、スタッフ手配、原稿・デザイン制作、校正など、案件に応じて必要な範囲を組み合わせます。

企画が固まりきっていない段階や、短いスケジュールで制作体制を検討している段階でもご相談ください。

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この記事の監修者
株式会社G.B.

株式会社G.B.

雑誌・書籍・ムックの編集・出版を中心に、
その他にも広告媒体の企画・編集・制作著作権の管理・運用、翻訳、その他上記に付帯する一切の業務を行う。

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