レシピ本・料理ムックで調理手順を迷わせない誌面づくりの基本
レシピ本や料理ムックの企画は決まったものの、これまで制作経験がなく、「どのように誌面を組めば、読者が調理手順を間違えずに料理できるのか」と迷う編集者は少なくありません。
料理の作り方を正確に書くだけでは、使いやすいレシピ本になるとは限りません。
文章を順番に読みながら作る人もいれば、一度内容を理解したあと、必要な情報だけをすばやく確認したい人もいるからです。
ジー・ビーでは、長年のレシピ本制作で培った知見をもとに、内容だけでなく「読者が実際にどう使うか」まで考えて誌面を設計しています。
ここでは、文章で料理の作り方を解説した実際の制作事例をもとに、わかりやすいレシピ本をつくるための考え方を紹介します。
記事の目次
レシピ本の誌面は「順番」だけでなく「使われ方」まで設計する
レシピ本をつくるとき、まず意識したいのが、読者が迷わず調理を進められることです。
材料を確認し、下ごしらえをし、火を入れ、仕上げる。
料理には順序があります。
そのため、誌面でも作業の流れを追いやすくすることが欠かせません。
ただし、「手順を正しい順番で並べる」だけで十分とは限りません。
大切なのは、読者がそのページをどのように使うのかまで想像することです。
最初から最後まで文章を読みながら、ゆっくり料理を進めたい人もいます。
一方、一度内容を読んで理解したあとは、材料や分量、手順だけを確認しながら作りたい人もいます。
同じ一冊でも、読む場面と料理をする場面では、必要とされる情報の見え方が変わります。
だからこそ、レシピ本の誌面設計では「何を書くか」と同時に、「どの場面で、どのように読まれるか」を考える必要があります。
誌面のわかりやすさは、文字の大きさやデザインだけで決まるものではありません。
読者が必要な情報へ迷わずたどり着ける構成になっているか。
その視点が、使いやすいレシピ本を考える出発点になります。
文章で読ませるレシピでも、確認しやすい形を用意する
ジー・ビーが制作したあるレシピ本では、一般的なレシピページとは少し異なる構成を採用しました。
料理の作り方を短い手順だけで示すのではなく、文章を順番に読み進めることで料理が完成するつくりです。
料理の流れそのものを読み物として追えるため、文章を読みながらじっくり作りたい読者にとっては使いやすい構成でした。
一方、制作を進めるなかで、別の使い方も考える必要が出てきました。
一度文章を読んで作り方を理解した読者が、次に同じ料理を作るときも、毎回すべての文章を読み直すとは限りません。
「材料は何だったか」「次はどの工程だったか」と、必要な情報だけを確認したくなる場面も考えられます。
そこで最終的に、巻末に従来のレシピ本に近い形式のレシピも掲載することにしました。
本文では文章を順番に読みながら料理を理解できる。
巻末では、必要な情報をまとめて確認できる。
一つの見せ方にすべてを担わせるのではなく、読者の使い方に合わせて二つの役割を持たせたのです。
この判断は、当初の構成段階から決まっていたものではありません。
制作を進めながら実際の使われ方を考え、必要だと判断して追加したものでした。
「初めて読む」と「もう一度作る」では必要な情報が違う
この事例で重要だったのは、どちらのレイアウトが優れているかを決めることではありません。
文章で丁寧に説明する形式と、一般的なレシピ形式には、それぞれ違う役割があります。
初めて料理を作るときは、なぜこの順番なのか、次に何をすればよいのかを、一つずつ追えることが助けになります。
文章を流れに沿って読める構成は、こうした場面と相性がよいでしょう。
しかし、一度作り方を理解したあとでは、求めるものが変わります。
すでに全体の流れが頭に入っていれば、長い説明より、材料や手順をまとめて確認できるほうが使いやすくなります。
つまり、「初めて読む読者」だけを想定して誌面をつくると、二度目以降の使いやすさを取りこぼす可能性があります。
反対に、情報を簡潔にまとめることだけを優先すると、初めて作る人には説明が足りなくなることも考えられます。
レシピ本の誌面づくりでは、読者を一つの読み方に固定しないことが重要です。
「この本を最初に開いたとき、どのように読むか」
「実際に料理をするとき、何を確認するか」
「一度作ったあと、もう一度開くとしたら、何を探すか」
こうした場面を分けて考えることで、必要な情報と、その見せ方を整理しやすくなります。
制作途中の違和感を、誌面構成へ戻して考える
今回の事例では、巻末に従来形式のレシピを掲載することは、最初から決まっていたわけではありませんでした。
構成を決めたあとでも、制作を進めるなかで「このままで読者は使いやすいだろうか」と立ち止まることがあります。
ここで重要なのは、決定済みの構成を守ること自体を目的にしないことです。
レシピ本の場合、読者が実際に料理をする場面を想像すると、誌面上では整って見える構成にも、使いにくさが見えてくることがあります。
今回も、「文章をゆっくり読みながら料理する人」だけでなく、「一度読んだあとにレシピだけ確認したい人もいる」と考えたことが、巻末レシピを追加する判断につながりました。
これは、単純にページを増やせばよいという話ではありません。
何かを追加するときには、「読者のどんな行動を助けるためなのか」が明確になっていることが大切です。
文章を読ませることに意味があるなら、その特徴は残す。
そのうえで、確認するときの使いやすさが不足しているなら、別の見せ方で補う。
こうして役割を整理すると、企画の特徴を失わずに、実際の使いやすさを高める方向を検討できます。
制作途中で生まれた小さな違和感は、単なる修正事項とは限りません。
読者の使い方をもう一度考えるきっかけになります。
レシピ本制作では、発注時に「どう読ませたいか」を共有する
初めてレシピ本を制作する場合、発注時に細かな誌面仕様まですべて決めておく必要はありません。
ただし、どのような本にしたいかという方向性は、制作側と共有しておくことが重要です。
たとえば、「文章をじっくり読んでもらう本にしたい」のか、「料理中にすばやく確認できる実用性を重視したい」のかでは、誌面に求められる役割が変わります。
さらに、今回の事例のように、一冊の中で複数の使い方を想定する方法もあります。
発注担当者が最初から完成形を決めきれなくても、読者がどのように本を使うかを制作側と一緒に考えることで、構成の選択肢を整理できます。
ジー・ビーでは、長年レシピ本を制作してきた経験をもとに、単に原稿を誌面へ流し込むのではなく、読者が調理中に迷わないか、必要な情報を確認しやすいかという視点から誌面づくりを検討しています。
企画内容に合ったレシピ本をつくるには、決まった型へ当てはめることより、その本の読者に合う見せ方を選ぶことが大切です。
まとめ|わかりやすいレシピ本は「使う場面」から考える
レシピ本や料理ムックの誌面づくりでは、次の3点を押さえることが重要です。
- 調理手順の順番だけでなく、読者がどのように誌面を使うかまで考える
- 初めて読む場面と、もう一度料理するときの確認場面を分けて考える
- 制作途中で使いにくさに気づいたら、読者の行動を基準に構成を見直す
今回紹介した事例でも、文章で読み進めるという本の特徴を残しながら、巻末に従来形式のレシピを加えることで、異なる使い方に対応する構成を選びました。
レシピ本のわかりやすさは、一つのレイアウトだけで決まるものではありません。
「読者がいつ、何を知りたいか」を整理することが、誌面設計の基準になります。
レシピ本・料理ムックの誌面設計についてご相談ください
株式会社ジー・ビーでは、長年のレシピ本制作の経験をもとに、読者が調理中に迷わない構成、本文とレシピ情報の役割分担、誌面の見せ方まで案件に応じて設計します。
初めてレシピ本を制作する場合や、誌面構成から相談したい場合も、お気軽にお問い合わせください。
- この記事の監修者
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株式会社G.B.
雑誌・書籍・ムックの編集・出版を中心に、
その他にも広告媒体の企画・編集・制作著作権の管理・運用、翻訳、その他上記に付帯する一切の業務を行う。
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