プロジェクトが炎上・遅延する原因はどこにある?各工程で発生しがちなトラブルと編集プロダクションの回避策
記事の目次
今、起きている「炎上」や「トラブル」はその前からはじまっている
「予定どおり校了できない」「修正が何度も発生して人海戦術で乗り切る⇒結果、割に合わない」「クライアントや著者・監修者との認識が食い違い、最後になって大幅な手戻りが起きる」など。
本を制作する過程で起こる「炎上」や「遅延」は、決して珍しいことではありません。
多くの担当者は、「ライターが遅れた」「デザイナーの作業が終わらない」「クライアントの確認が遅い」といった目の前の原因に目を向けがちですが、本当の問題はもっと前の工程に潜んでいるケースが少なくありません。
制作現場では、「後工程で起きたトラブルの原因は前工程にある」という考え方があります。
つまり、原稿制作で問題が起きたのは企画設計が甘かったから、デザイン修正が終わらないのは要件整理が不十分だったから、といったように、一段階前の工程の準備不足が後から大きな問題となって現れるのです。
本の制作における各工程で起こりやすいトラブルと、その回避策について、編集歴20年以上の編集者の視点から詳しく解説します。
なぜ制作プロジェクトは炎上するのか?
「炎上」と聞くと、大きなミスやトラブルを想像するかもしれません。
しかし実際には、小さな認識のズレや確認漏れが積み重なった結果として発生するケースも多くあります。
例えば、「ゴールが曖昧なまま企画がはじまる」「誰が最終決裁者なのか決まっていない(関係者が多く責任が分散される)」「そもそものスケジュールがタイト」「修正回数のルールがない」「素材提供の日程が未定」などです。
こうしたひとつひとつは小さな問題に見えますが、制作が進むほど影響は大きくなります。
編集プロダクションでは、「問題を解決する」だけではなく、「問題が起こりにくい設計をする」ことも、責任編集者の重要な仕事のひとつです。
制作工程別|よくあるトラブルと回避策
工程① 企画・要件定義で起きるトラブル
もっとも重要なのが企画段階です。
この工程で方向性が曖昧だと、その後のすべての工程が迷走します。
よくあるトラブル
- 目的が「なんとなく作りたい」になっている
- ターゲットが決まっていない
- 掲載内容が途中で増え続ける
- 社内で認識が統一されていない
例えば、「小売販売店に置く商品を紹介するチラシの制作をお願いしたい」という依頼だけでは情報が不足しています。
商品を伝えたいのか、企業イメージを伝えたいのか、仕事内容を伝えたいのか。
そもそもの依頼が漠然としすぎていて、何から手をつければいいのか、まったく分からない依頼もあります。
【編集プロダクションの回避策】
編集プロダクションでは制作開始前に、次のような項目を整理します。
- 制作目的
- ターゲット
- KPI=重要業績評価指標(Key Performance Indicator)
- 必要ページ
- 優先順位
- 決裁フロー
この設計図があることで、途中の迷いを減らしやすくなります。
工程② スケジュール作成で起きるトラブル
「納期だけ決まっている」。
これは非常によくあるケースです。
例えば、「●月売りにしたい」だけではスケジュールとは言えません。
必要なのは、次の工程まで逆算した工程表です。
- 原稿締切
- デザイン開始
- 校正
- 修正
- 最終確認
- 入稿
よくあるトラブル
「確認期間が設定されていない」「社内決裁の日数が考慮されていない」「大型連休が考慮されていない」「取材日や撮影日の変更が想定されていない」などです。
結果として、制作は進んでいるのに、いつ校了するのか分からないという状況になります。
【編集プロダクションの回避策】
制作スケジュールには、「作業期間」だけではなく、「確認期間」も設定します。
また、バッファ日程、緊急修正日、予備日まで含めて設計することで、多少のトラブルが発生しても納期への影響を抑えやすくなります。
工程③ 情報収集・素材準備で起きるトラブル
制作は素材がなければ、はじまりません。
ところが実際には、「写真がまだない」「テキストがない」「取材者への取材・撮影の日程が決まらない」というケースが多くあります。
よくあるトラブル
- 写真不足(そもそもの数が少ない)
- 画質が低い(印刷に耐えられない)
- 最新版資料ではない(情報が古い)
- 掲載許可が取れていない
- 取材対象者の日程調整ができない
制作開始後にこれらが発生すると、後続工程にも影響します。
【編集プロダクションの回避策】
制作開始前に、素材に関するリストを作成します。
例えば、インタビュー候補、掲載許可が必要なものなどを一覧化し、常に確認しながら制作を進めます。
特に取材協力先が多くなるMOOK制作においては、チーム全員が共有できるフォルダを作成し、携わるメンバーがいつでもチェックできる体制にします。
工程④ ライティングで起きるトラブル
ライティング工程では、「思っていた内容と違う」という修正依頼が発生することがあります。
その原因のひとつが、ライターへ渡す依頼内容の曖昧さです。
よくあるトラブル
- トーンが決まっていない
- 参考記事が共有されていない
- 文字数が変わる
- 掲載内容が追加される
- 監修者が後から増える
結果として、初校提出後に大幅な書き直しが必要になる場合があります。
【編集プロダクションの回避策】
ライターへの発注時には、構成案(デザインフォーマット)、見出しの内容・文字数、参考記事・資料、トーン(方向性)、NG表現、キーワード、統一表などを共有します。
この段階で必要な情報を整理しておくほど、後工程での認識違いを減らしやすくなります。
工程⑤ デザイン制作で起きるトラブル
デザイン工程は見た目だけではありません。
情報整理の工程でもあります。
そのため、原稿が確定していない状態でデザインをはじめると、大幅なレイアウト変更が発生することがあります。
よくあるトラブル
- 原稿が増える
- 写真が差し替わる
- アイコンやロゴが変更になる
- 掲載順が変わる
- サイズ変更が発生する
デザイン修正は一見、簡単そうですが、実際には全ページへ影響するケースもあります。
【編集プロダクションの回避策】
編集プロダクションでは、「原稿FIX」をひとつの節目として管理します。
その後の変更は追加工数として整理し、必要に応じてスケジュールへの影響も確認します。
工程⑥ 校正・校閲で起きるトラブル
制作終盤でもっとも混乱しやすいのが、「修正の修正」です。
Aさんが修正した内容をBさんが戻し、さらにCさんが別の修正を出す。
「そんなバカな!?」と思われるかもしれませんが、企業案件では起こり得ます。
現場レベルではOKであっても、上層部でNGがかかるケースなどです。
この状態になると、どれが最新版なのか分からなくなります。
よくあるトラブル
- 最新版が分からない
- 修正履歴が残っていない
- 複数人が同時に修正している
- メールが乱立している
- 指示が口頭のみ
【編集プロダクションの回避策】
修正指示は、できるだけ一元管理します。
例えば、修正一覧表、バージョン管理、担当者管理、締切管理を行うことで、混乱を防ぎやすくなります。
工程⑦ 最終確認・納品で起きるトラブル
最後だから安心、ではありません。
納品直前にも多くのトラブルが潜んでいます。
よくあるトラブル
- リンク切れ
- QRコード誤り
- 画像差し替え漏れ
- 印刷用データの不備
最後のひとつのミスが、大きな信用問題につながることもあります。
【編集プロダクションの回避策】
納品前にはチェックリストを用い、誤字脱字、リンク、ページ番号、写真、クレジット、データ形式などを複数人で確認します。
属人的な確認だけに頼らず、仕組みとして品質を担保することが重要です。
進行管理こそがプロジェクト成功の鍵
多くの企業では、「進行管理=スケジュール管理」と思われています。
しかし実際には、進行管理とは、「人・情報・品質・コスト・納期」すべてを管理する仕事です。
編集プロダクションは、ライターやデザイナーを手配するだけではありません。
各工程のリスクを先まわりして洗い出し、問題が起きそうな箇所を事前に潰しながら、プロジェクト全体をコントロールします。
制作会社というと、「原稿を書く会社」「デザインを作る会社」というイメージを持つ人も少なくありません。
しかし編集プロダクションの価値は、制作物そのものだけではなく、「プロジェクトを前に進めるマネジメント力」にもあります。
企画段階でリスクを洗い出し、適切なスケジュールを設計し、関係者との情報共有を徹底することで、炎上や遅延を未然に防ぎやすくなります。
また、万が一トラブルが発生した場合でも、影響範囲を見極めながら対応し、プロジェクト全体への波及を抑えることが重要です。
さらに、ライター、カメラマン、デザイナー、イラストレーター、校正者など、多様なクリエイターと連携することで、状況に応じた制作体制を構築できます。
これにより、品質を維持しながら効率的に制作を進めやすくなります。
制作プロジェクトの炎上や遅延は、突然起こったように見えても、その前段階に原因がある場合があります。
多くの場合、企画設計や情報整理、スケジュール管理、関係者間のコミュニケーションといった初期段階での準備が、その後の進行に大きく影響します。
一方で、各工程ごとに起こりやすいリスクを把握し、事前に対策することで、トラブルの発生や影響を抑えやすくなります。
編集プロダクションは、単に制作物を完成させるだけではなく、企画立案から進行管理、品質管理、納品までを俯瞰し、プロジェクト全体を円滑に進める「司令塔」の役割も担います。
社内の担当者だけで進行管理に不安を感じている場合や、複数の関係者が関わる大規模な制作案件では、編集プロダクションのノウハウを活用することで、炎上や遅延のリスクを抑えながら制作体制を整えられます。
進行管理を含めた書籍・冊子制作についてご相談ください
株式会社ジー・ビーでは、企画・構成、取材・原稿制作、デザイン、進行管理、校正まで、案件に応じて制作工程をご相談いただけます。
「関係者が多く進行が複雑になっている」「修正や確認が重なり、納期管理に不安がある」といった段階でも、お気軽にお問い合わせください。
- この記事の監修者
-
株式会社G.B.
雑誌・書籍・ムックの編集・出版を中心に、
その他にも広告媒体の企画・編集・制作著作権の管理・運用、翻訳、その他上記に付帯する一切の業務を行う。
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