ホワイトペーパー制作の工程と体制を解説|準備・役割チェックシート

自社の認知向上や見込み顧客との接点づくりを目的に、ホワイトペーパーを制作する企業が増えています。
しかし、いざ進めようとすると、「最初に何を用意すればよいのか」「原稿は誰が書くのか」「社内ではどこまで対応すべきか」と迷いやすいものです。

ホワイトペーパーは、文章を用意してデザインすれば完成するわけではありません。
読者の課題を設定し、社内に散らばる情報を整理し、読みやすい順番に組み直す工程が品質を左右します。

この記事では、調査・業界レポート型のホワイトペーパーを例に、企画から公開までの工程と役割分担を解説します。

年間150案件以上を制作するGBが、編集プロダクションがどの工程を担えるのかも含め、発注前に確認したいポイントを整理します。

ホワイトペーパー制作は「情報整理」と「構成設計」が重要

ホワイトペーパー制作で最初に決めたいのは、ページ数やデザインではありません。
誰に、何を伝え、読後にどのような印象や行動につなげたいかです。

認知向上を目的とする場合、商品やサービスを詳しく紹介するだけでは、読者に広告資料として受け取られる可能性があります。
まず読者が関心を持つ課題や業界動向を示し、その理解を助ける情報を提供する必要があります。

調査・業界レポート型であれば、主に次の要素を整理します。

  • 想定する読者
  • 読者が抱えている課題
  • レポートで扱うテーマ
  • 使用できる調査結果や社内データ
  • 競合との差
  • 読後に持ってほしい認識
  • 自社情報を示す範囲

ホワイトペーパーは情報量が多くなりがち。
ここが曖昧なまま制作を始めると、何を伝えたい資料なのか分かりにくくなります。

反対に、目的と読者が整理されていれば、掲載する情報と省く情報を判断しやすくなります。
ホワイトペーパーの質は、執筆前の設計段階で大きく変わるのです。

ホワイトペーパー制作の基本工程

ホワイトペーパーは、一般的に次のような工程で制作します。

目的と読者を決める

最初に、制作の目的を明確にします。

認知向上、リード獲得、サービス理解、営業支援など、目的によって内容や構成は変わります。
今回は認知向上が目的であるため、読者に役立つ情報を中心にしながら、自社がその分野に詳しいことを自然に伝える設計が必要です。

読者も「企業担当者」のように広く設定せず、業種、職種、役職、知識量まで具体化します。

たとえば、経営層と現場担当者では知りたい情報が異なります。
経営層は市場全体の動向や経営への影響を重視し、現場担当者は具体的な課題やそれに対する対応方法を求める傾向があります。

読者像を絞ることで、見出しや説明の深さを決めやすくなります。

素材を集める

次に、ホワイトペーパーに使える素材を集めます。

調査・業界レポート型では、アンケート結果、社内データ、公開統計、顧客から寄せられた相談、営業担当者の知見などが候補になります。

この段階では、きれいな原稿にまとめる必要はありません。
会議資料、表計算ファイル、箇条書きのメモでも構いません。

何が事実で、何が担当者の見解なのかを区別することが重要です。
数値には出典や調査条件も必要になります。

素材集めの段階で確認事項を整理しておくと、執筆後の差し戻しを減らせます。

情報を整理する

素材が集まっても、そのままでは読者向けの資料になりません。

社内では通じる言葉でも、初めて読む人には意味が伝わらないことがあります。
専門用語や社内用語が多い場合は、一般的な表現へ置き換える必要があります。

  • 情報整理では、主に次の点を確認します。
  • 同じ内容が重複していないか
  • 主張と根拠が対応しているか
  • 数値の前提条件が明確か
  • 読者に不要な情報が混ざっていないか
  • 説明の粒度がそろっているか
  • 公開できない情報が含まれていないか

調査結果を多く掲載すれば、説得力が高まるとは限りません。
読者が結果の意味を理解できるよう、項目を絞り、順序を整えることが重要です。

構成を設計する

情報整理の次に、全体の構成を決めます。

調査・業界レポート型では、次のような流れが考えられます。

  • 読者が置かれている状況
  • 調査の目的と概要
  • 主な調査結果
  • 結果から読み取れる傾向
  • 企業が考えるべき課題
  • 今後の対応や考え方
  • 自社の取り組みやサービス紹介

この順番は固定ではありません。
ただし、いきなり調査結果を並べるよりも、何のための調査なのかを先に示した方が理解しやすくなります。

各ページの役割も決めます。

「このページは市場全体の変化を示す」「このページでは読者の課題を整理する」と定めることで、原稿とデザインの方向性がそろいます。

構成案の段階で社内確認を行えば、完成後に大幅な組み替えが発生するリスクを抑えられます。

原稿を作成する

構成が固まったら、本文を作成します。

ホワイトペーパーでは、説明を詳しくしすぎると読みにくくなり、短くしすぎると根拠が不足します。
想定読者の知識量に合わせて、説明の深さを調整します。

文章だけで説明しにくい内容は、表、グラフ、フロー図などへ置き換えます。

特に調査結果は、数値を並べるだけでは意味が伝わりません。
「どの結果に注目すべきか」「その結果から何が考えられるか」を文章で補う必要があります。

原稿作成は、単なる文章化ではありません。
読者に理解してもらうための編集作業です。

デザインと図解を制作する

デザインでは、見た目の華やかさよりも、情報の優先順位が伝わることを重視します。

見出し、本文、数値、注記が同じ強さで配置されていると、読者はどこから読めばよいか迷います。
重要な数値や結論を大きく示し、補足情報との強弱をつけます。

グラフを作る際は、種類の選択にも注意が必要です。

割合の比較には棒グラフ、時間による変化には折れ線グラフ、工程にはフロー図が向いています。
円グラフを多用すると、細かな差が比較しにくくなることもあります。

デザイン担当者には、原稿だけでなく、各ページで最も伝えたい内容も共有します。

校正と最終確認を行う

デザイン後は、文字だけでなく図表も含めて確認します。

  • 主な確認項目は次の通りです。
  • 誤字脱字がないか
  • 数値とグラフが一致しているか
  • 出典が正しく記載されているか
  • 見出しと本文の内容が合っているか
  • 社名、サービス名、専門用語の表記が統一されているか
  • 公開できない情報が含まれていないか
  • 問い合わせ先やURLが正しいか

社内確認者が複数いる場合は、誰がどこを見るかを決めておき、事実確認、表現確認、経営判断など、確認する観点を分けると進めやすくなります。

目的設定から校正まで、ホワイトペーパー制作の7工程を示した図

企業側と編集プロダクションの役割分担

ホワイトペーパー制作では、すべてを外注することも、企業内で大部分を進めることも可能です。
ただし、企業にしか判断できない部分と、制作会社へ任せやすい部分があります。

  • 企業側が担う主な役割は、次の通りです。
  • 制作目的の決定
  • 想定読者の共有
  • 社内資料やデータの提供
  • 事実関係の確認
  • 公開可否の判断
  • サービス情報の確認
  • 最終承認

編集プロダクションへ依頼できる主な役割は、次の通りです。

  • ヒアリング
  • 情報の整理
  • 読者設定の具体化
  • 構成案の作成
  • 原稿執筆
  • 図解設計
  • デザイン
  • 校正
  • 制作進行

情報が完全に整理されていない段階でも、相談は可能です。
目的、読者、使える情報、公開できない情報が分かれば、編集側で構成を組み立てられます。

むしろ、社内資料が多く、どこから手をつけるべきか分からない場合に、編集プロダクションの情報整理力が役立ちます。

企業と編集プロダクションのホワイトペーパー制作における役割分担

調査・業界レポート型で起こりやすい失敗

調査・業界レポート型のホワイトペーパーでは、情報量の多さがそのまま価値になると思われがちです。

しかし、情報を詰め込みすぎると、読者が重要な結果を見つけにくくなります。

調査結果を並べただけになる

グラフや数値が連続していても、何を読み取ればよいかが示されていなければ、読者は途中で離脱します。

各結果について、注目点や背景を短く補足する必要があります。

自社の説明が早すぎる

認知向上を急ぐあまり、冒頭から自社サービスの説明を始めると、営業資料に見えやすくなります。

まず業界や読者の課題を整理し、その後に自社の知見や取り組みを示す方が自然です。

社内向けの構成になっている

事業部の組織順や社内資料の順番をそのまま使うと、読者にとって分かりにくい構成になります。

読者が知りたい順番と、企業が説明したい順番は一致しないことがあります。

データの条件が分からない

調査人数、実施時期、対象者などが記載されていないと、数値の受け取り方を判断できません。

調査結果には、必要な条件と出典を添えます。

発注前に整理したいチェック項目

制作会社へ相談する前に、すべてを決める必要はありません。
ただし、次の項目を整理しておくと、見積もりや工程を組みやすくなります。

  • 制作の目的
  • 想定する読者
  • 扱いたいテーマ
  • 公開予定時期
  • 希望ページ数
  • 配布方法
  • 使用できる社内資料
  • 新規調査の有無
  • デザインの希望
  • 社内確認者
  • 予算の目安
  • 外注したい工程

特に確認したいのは、どの工程から依頼するかです。

構成案が決まった後に執筆だけ依頼する方法もありますが、情報整理に課題がある場合は、企画や構成の段階から相談した方が進めやすくなります。

制作会社を選ぶ際は、完成物のデザインだけでなく、情報整理、構成設計、進行管理のどこまで対応できるかを確認します。

企業側のホワイトペーパー制作における役割チェックシート

まとめ|工程と役割を整理すると制作負担を減らせる

ホワイトペーパー制作では、次の3点が重要です。

  • 読者と目的を最初に明確にする
  • 原稿を書く前に情報整理と構成設計を行う
  • 企業側と制作会社側の役割を早い段階で決める

調査・業界レポート型では、読者が意味を理解できる順番へ整理することが欠かせません。

社内資料がまとまっていない場合でも、目的や課題を共有できれば、編集プロダクションと一緒に設計を進められます。

株式会社ジー・ビーでは、企業が保有する資料や調査データをもとに、読者設定、情報整理、構成、執筆、デザインまで対応しています。
「資料はあるが構成が決まらない」「社内の負担を抑えて制作したい」といった段階からご相談いただけます。

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この記事の監修者
株式会社G.B.

株式会社G.B.

雑誌・書籍・ムックの編集・出版を中心に、
その他にも広告媒体の企画・編集・制作著作権の管理・運用、翻訳、その他上記に付帯する一切の業務を行う。

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