入札案件に、出版社の制作力を。提案資料・誌面サンプル・制作体制まで

公共案件・コンペに、出版社・編集プロダクションを外部制作チームとして組み込む

「これまでの営業だけでは、新しい案件が増えにくい。
公共案件や大型コンペにも、もっと踏み込んで提案できないか」

そう考えて公募情報を調べ始めると、応募できそうな案件が見つかることがあります。
企業としての信用力、入札資格、類似事業の実績はある。
営業窓口や契約管理も担える。
ところが、仕様書を読み進めると、提案資料だけでなく、冊子の誌面サンプル、取材計画、ライターやデザイナーを含む制作体制まで求められています。

そこで課題になるのが、「受注後に何を、誰が、どうつくるのか」です。
応募企業に編集者や誌面デザイナーがいなくても、案件を諦める必要はありません。
出版社・編集プロダクションを外部チームとして座組に加え、提案段階から制作機能を組み込む方法があります。

出版業界の外では、出版社や編集プロダクションが企業コンペや入札案件の提案支援を受けていること自体、あまり知られていません。
本記事では、どの工程を外注できるのか、どのように座組をつくるのか、受注前の費用や短納期をどう考えるのかを、実務に沿って解説します。

この記事の三行要約

入札資格や営業力を持つ企業に、企画・編集・デザイン・取材の制作機能を外部から組み込めます。

出版社・編集プロダクションには、指定FMT、誌面サンプル、スタッフ候補の調査、受注後の実制作まで相談できます。

提案資料をきれいにするだけでなく、応募できる案件の幅を広げ、採択後に動ける体制をつくることがメリットです。

入札案件の座組に、出版社が入るという選択肢

公共団体や大企業が発注する事業では、代表企業に一定の規模、信用力、類似実績、契約管理能力が求められます。
印刷会社、広告会社、人材会社、調査会社、イベント会社などが窓口となり、複数企業で座組をつくって応募することも珍しくありません。

一方で、応募資格を持つことと、成果物を実際につくれることは別です。
地域情報誌、採用冊子、啓発漫画、Web記事、取材動画などが成果物に含まれていても、応募企業の社内に編集者、ライター、誌面デザイナー、イラストレーター、カメラマンがそろっているとは限りません。

その不足を埋める先として、出版社・編集プロダクションを座組へ加えることができます。
応募企業が発注者との窓口、契約、予算、事業管理を担い、出版社側が企画、編集、デザイン、取材、制作進行を担う形です。

応募企業の入札資格・信用力と、出版社・編集プロダクションの企画・編集・取材・体制構築を組み合わせる図

図1 応募企業の信用力・営業力と、出版社・編集プロダクションの制作力を組み合わせる

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出版社・編集プロダクションが持ち込める「制作力」とは

出版社・編集プロダクションの役割は、原稿を受け取って本にすることだけではありません。
情報が十分にそろっていない段階から、誰に何を伝えるかを決め、必要な取材や素材を洗い出し、文章・写真・図表・イラストを一つのコンテンツへまとめます。

入札案件や企業コンペでは、主に次の機能を外部から組み込めます。

  • 公募要項・仕様書を読み、提案資料の構成と必要作業を整理する
  • 自社の実績や事業体制を、審査項目に沿って伝わる形へ編集する
  • 冊子、パンフレット、漫画、Web記事などの完成イメージを制作する
  • PowerPointや指定FMTの情報設計とビジュアルを整える
  • 受注後を想定して、取材・撮影・原稿・デザイン工程を設計する
  • 案件に合うライター、イラストレーター、カメラマンなどの候補を調査する
  • 採択後の取材、編集、デザイン、校正、制作進行まで担当する

これは、営業部門の代わりに提案するという意味ではありません。
案件の目的、発注者との関係、自社実績、価格や契約条件は、応募企業が最もよく理解しています。
出版社は、それらを成果物と制作工程へ変換する役割を担います。

提案営業に制作側が入ると、何が変わるのか

営業担当者が編集やデザインの専門家でないこと自体は、問題ではありません。
営業には、顧客との関係、社内調整、価格、契約、提出書類など、本来担うべき仕事があります。
そこへ冊子の企画、誌面構成、取材設計、デザイン見本まで加われば、どうしても過去資料を組み合わせた提案になりやすくなります。

制作側が早い段階から参加すると、「こんな冊子をつくります」という抽象的な言葉を、ページ構成、取材対象、写真の扱い、制作工程、必要人員へ落とし込めます。
営業が見つけた機会を、実行可能な提案へ変えるのが出版社・編集プロダクションの役割です。

外部制作チームが加わることで具体化できること

成果物の読者、利用場面、掲載内容、表現方法

誌面サンプルに必要な文章量、写真、図表、イラスト

取材人数、撮影日数、原稿本数、校正回数、納品までの工程

応募時点で示す制作体制と、採択後に動く担当者の役割

公共案件は、提案資料の派手さだけで決まらない

出版社やデザイナーが参加すれば、意外性のある提案でコンペを逆転できる――という話ではありません。
公共案件や大型案件では、応募資格、企業としての安定性、類似実績、地域との関係、実施体制、価格などが重要な判断材料になります。

たとえば地域の魅力を発信する事業なら、その地域に根差した活動実績や、同種の地域プロモーションを継続してきた企業が求められます。
新しさより、事業を安定して完遂できることが優先される案件もあります。

それでも、提案資料が整理されていなければ、本来評価されるはずの実績や体制まで伝わりません。
出版社の制作力は審査の土台を置き換えるのではなく、応募企業が持つ土台を、審査側が短時間で判断できる形にします。

公共案件の評価要素を、土台、実績、実行体制、伝達の四層に分けた図

図2 提案資料と制作サンプルは、応募企業の土台を「判断できる形」にする

指定FMTに、まだ完成していない座組を落とし込む

入札案件では、自由な構成でPowerPointを作ればよいとは限りません。
発注者が指定したWord、Excel、PowerPointなどのFMTに沿い、決められた項目、文字数、表の枠、添付順へ情報を当てはめます。

この作業の難しさは、資料をつくりながら座組も完成させなければならないことです。
実施体制の欄に、ライター、イラストレーター、カメラマンなどの氏名、類似実績、担当範囲を求められても、応募を決めた時点では候補者が固まっていないことがあります。

その場合は、案件のテーマ、地域、対象読者、必要な表現に合う候補者を調べ、稼働可否を確認し、プロフィールや実績資料を集め、指定FMTへ反映します。
出版社・編集プロダクションには、文章やデザインだけでなく、この候補調査と制作体制づくりから相談できます。

候補調査から体制表へ反映するまで

仕様書から、必要な職種・経験・実績条件を読み取る

社内外の候補者を調べ、案件期間の稼働可否を確認する

本人の了承を得たうえで、プロフィールと類似実績を収集する

担当範囲と責任関係を整理し、指定FMTの体制表へ落とし込む

未確認の人名や実績を提案書へ記載することはできません。
応募時に示す体制は、採択後に実際に動ける体制である必要があります。

提案資料から受注後まで、外注できる工程

外注できるのは、PowerPointの見た目を整える作業だけではありません。
案件探索後の応募判断から、採択後の実制作まで、必要な工程を切り出せます。

案件探索から提案資料、採択後の制作、納品・運用まで、外注できる工程を示した図
図3 顧客窓口は応募企業のまま、提案から実制作まで不足する工程を補う
段階 外注できる仕事 具体的な内容
提案前 公募要項・仕様書の整理 提出物、審査項目、成果物、制作条件を読み解く。
提案前 企画・構成設計 自社の実績と提案内容を、審査側が理解しやすい順番に組み立てる。
提案前 制作体制の候補調査 ライター、イラストレーター、カメラマン等の候補と実績を確認する。
提案時 指定FMTの編集 審査項目と応募企業の情報を対応させ、所定の欄へ整理する。
提案時 PowerPoint・誌面サンプル 図表、ページ構成、冊子や漫画等の完成イメージを作成する。
提案時 工程・見積の設計 取材、撮影、原稿、デザイン、校正の日数と原価を具体化する。
受注後 取材・撮影・原稿 人物、施設、地域、事業内容を取材し、読者向けのコンテンツにする。
受注後 編集・デザイン・進行 誌面設計、図表、校正、修正管理、関係者調整を行う。

入札案件に出版社を入れる5つのメリット

1

応募できる案件の幅を広げられる

自社に編集・デザイン部門がないことだけを理由に、冊子や漫画を含む案件を諦めずに済みます。
営業力、信用力、類似実績に、外部の制作力を組み合わせられます。

2

自社の強みを、審査項目に沿って伝えられる

実績や体制が豊富でも、資料内で情報が散らばっていれば評価されにくくなります。
編集者が審査項目と根拠を対応させ、判断順序に沿って整理します。

3

完成イメージを、実制作に近い形で示せる

表紙だけでなく、取材ページ、地域紹介、図表、漫画などを、実際に成立する文章量と素材構成で見せられます。

4

制作体制を、名前だけでなく実行可能な形にできる

候補者の実績、稼働、役割まで確認し、採択後にそのまま動ける座組を提案できます。

5

採択後の立ち上がりを早くできる

提案時に構成、工程、人員、必要素材を整理しておけば、受注後に制作会社を探し直す時間を減らせます。

外注は「全部任せる」必要はない

未受注案件では、提案準備に大きな費用をかけにくいのが現実です。
その場合でも、社内でできる部分と、専門性が必要な部分を分ければ、外注費を抑えられます。

部分支援、共同提案、制作一括の三つの外部チーム活用方法を比較した図

図4 案件の確度、締切、社内体制に合わせた3つの外注方法

たとえば、企業情報や過去実績の入力は社内で行い、全体構成と重要ページだけを外注する。
誌面サンプルのみ出版社へ依頼し、価格表や契約書類は自社で作成する。
反対に、受注後の冊子制作まで社内で対応できない場合は、提案段階から取材・編集・デザインチームを確保しておく。
案件に応じた切り分けが可能です。

未受注案件の外注費を、どう考えるか

コンペ支援の難しさは、作業が発生する時点では売上が確定していないことです。
応募企業は費用をかけにくく、制作会社も短納期で複数人を動かしながら、採択されなければ無償という条件では継続できません。

双方が無理をしないためには、提案段階の作業と、受注後の本制作を分けて考えます。

  • 最初は構成整理、指定FMT、重要ページのサンプルなど、効果の大きい範囲に絞る
  • 提案支援費を、受注後の制作費とは別の作業として予算化する
  • 取材・編集・デザイン費を、受注後の原価として提案見積へ組み込む
  • 単発の無償協力ではなく、複数案件を相談できる制作パートナーをつくる
  • 公募案件を探す段階から、外部制作費が必要になる可能性を社内で共有する

成果物に冊子や継続的なコンテンツ制作が含まれる場合、外部制作費は付随的な費用ではありません。
事業を実行するために必要な原価です。

急な相談でも、最初に共有してほしいこと

公募締切が迫り、写真や原稿がそろっていない段階でも相談は可能です。
ただし、短時間で対応範囲を判断するには、現時点で分かっている条件を共有する必要があります。

共有してほしい情報 確認したい内容
公募要項・仕様書 提出物、審査項目、ページ数、データ形式、指定FMT。
提出締切と社内締切 最終提出日、上司確認、社内決裁の日程。
応募企業と協力会社の役割 契約主体、事業管理、制作、印刷等の分担。
類似実績 案件に近い事業、地域活動、制作物、運営実績。
使用できる素材 写真、文章、過去資料、Webサイト、ロゴ等。
外注したい範囲 構成、FMT、資料デザイン、誌面サンプル、受注後の制作。
提案段階の予算 現時点で支出できる金額、社内相談できる上限。
求められる実務担当者 職種ごとの要件、必要実績、すでに決まっている候補。
受注後の想定 取材人数、撮影、ページ数、納期、継続運用。

すべてが確定している必要はありません。
「まだ決まっていないこと」が分かるだけでも、提案時に断定できる部分と、採択後に調整する部分を分けられます。

なぜ、出版社・編集プロダクションなのか

提案資料だけなら、資料デザイン会社へ依頼する方法もあります。
人材の候補探しだけなら、個別のクリエイターへ声をかけることもできます。

出版社・編集プロダクションの特徴は、提案資料と、その先にある実制作を一続きで考えられることです。
取材先との調整、写真撮影、原稿作成、ページ構成、図表、デザイン、校正を同時に進め、成果物として納品する経験があります。

特に、取材撮影を伴う冊子、雑誌感のある誌面、専門情報を一般向けに整理するコンテンツは、担当者を個別に集めるだけでは進みません。
誰が何をいつまでに決めるかを管理する編集・制作進行が必要です。

応募企業の営業力や事業運営力に、出版社の制作力を加える。
これにより、提案時に描いた内容を、採択後も実際に形にできる座組になります。

入札案件に、出版社の制作力を

新しい案件へ踏み込もうとしても、社内に編集者やデザイナーがいなければ、提案できる内容は限られます。
しかし、制作機能をすべて自社で持つ必要はありません。

応募企業が顧客窓口、契約、事業管理を担い、出版社・編集プロダクションが提案資料、誌面サンプル、制作体制、受注後のコンテンツ制作を支える。
その役割分担を知っておけば、これまで対象外としていた案件にも、現実的な座組で検討できます。

入札案件の提案から、受注後のコンテンツ制作までご相談ください

株式会社ジー・ビーでは、指定FMTに合わせた提案資料の構成整理、PowerPointデザイン、冊子・漫画等のサンプル制作、ライター・イラストレーター等の候補調査、受注後の取材、撮影、原稿作成、編集、デザイン、制作進行まで、案件に応じて対応しています。

公募締切が迫っている、制作体制がまだ固まっていない、写真や原稿素材がそろっていない段階でも、まずは現在の条件をお知らせください。

お問い合わせフォーム:https://www.gbnet.co.jp/contact/

投稿者

  • 眼鏡をかけたスーツ姿の担当者のプロフィール写真

    出版社・編集プロダクションで、営業窓口、案件統括、事業戦略、採用、社内IT運用などを横断して担当。
    書籍・冊子・Webコンテンツの企画相談から、制作体制の設計、見積もり、スケジュール調整、業務改善まで、発注者と制作現場の間に立って実務を進めている。
    本メディアでは、編集プロダクションへの発注方法、本づくりの進め方、制作費やスケジュールの考え方、営業・AI活用などについて、現場で起きやすい認識のずれや失敗例も踏まえながら、発注者・制作者双方に役立つ情報を紹介する。

この記事の監修者
株式会社G.B.

株式会社G.B.

雑誌・書籍・ムックの編集・出版を中心に、
その他にも広告媒体の企画・編集・制作著作権の管理・運用、翻訳、その他上記に付帯する一切の業務を行う。

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