企画の壁打ちに編集プロダクションを「アイデアの増幅器」として使う方法

「次の本の企画を考えてほしい」と言われたものの、何から手をつければよいのか分からない。
テーマは決まっていても、章立てや判型、色数、図解・イラスト・マンガのどれを使うべきか判断できない。
出版社の編集者が、一人でこうした迷いを抱える場面があります。

企画は、最初から一人で完成させる必要はありません。
編集プロダクションを壁打ち相手にすれば、曖昧なアイデアを言葉にし、読者や見せ方を整理しながら、企画の選択肢を増やせます。

本記事では、企画のどの段階から相談できるのか、壁打ちによって何を整理できるのかを解説します。
年間20冊以上の制作を手掛ける編集者が複数在籍する株式会社ジー・ビーの実務も紹介します。

企画の壁打ちは、テーマが決まる前から相談できる

編集プロダクションへの企画相談は、完成した企画書を渡すところから始まるとは限りません。

テーマすら決まっておらず、「とにかく新しい本の企画を考えなければならない」という段階から相談できます。

テーマが決まっている場合も同じです。

たとえば、「図解やイラストを使った分かりやすい本をつくりたい」という方向だけでは、まだ一冊の企画になっていません。

整理すべきことは、いくつもあります。

  • 誰に向けた本なのか
  • 何を分かりやすく伝えるのか
  • どのジャンルで類書と差をつくるのか
  • どの順番で情報を見せるのか
  • 図解、イラスト、マンガのどれを使うのか
  • 判型や色数をどうするのか

これらをすべて一人で抱え込むと、判断基準が見えにくくなります。
思いついた案を何度も考え直し、どの方向にも進めなくなることもあります。

壁打ちの目的は、最初から正解を出すことではありません。

頭の中にある断片的な考えを言葉にし、何が決まり、何がまだ曖昧なのかを見える形にします。
企画の現在地が分かれば、次に検討すべきことも整理できます。

編集プロダクションは、決まった企画を制作するだけの存在ではありません。
企画が生まれる前の段階から、考える相手として活用できます。

図1 一人で抱え込む状態から企画になるまで
本の企画を一人で抱え込まず編集プロダクションとの壁打ちで整理する流れ
1

本の企画を任される

2

テーマや見せ方が決まらない

3

編集プロダクションへ相談する

4

アイデアと条件を言葉にする

5

企画の方向性が見える

壁打ちは、完成した企画を持ち込む場ではない

壁打ちで、企画の選択肢と判断基準を増やす

企画に煮詰まったとき、必要なのは新しいアイデアだけではありません。

すでにある着想を別の角度から見直したり、複数の選択肢を比較したりすることも重要です。

編集プロダクションとの壁打ちでは、持ち込まれた案をそのまま整えるだけでなく、読者、市場、誌面の見せ方から捉え直します。

同じテーマでも、対象読者が変われば、構成や情報量は変わります。
どのジャンルで展開するかによっても、類書との差のつくり方は異なります。

見せ方も一つではありません。

情報の関係や仕組みを整理するなら図解が向いています。
人物や場面を直感的に伝えるならイラスト、読者の疑問や理解の流れを見せるならマンガという選択肢があります。

判型や色数も、単なる制作上の仕様ではありません。

大きな図版を見せたいのか、持ち運びやすさを優先するのか。
1色で情報を端的にまとめるのか、2色で要点を際立たせるのか、4色で写真やイラストを生かすのか。
企画の目的と制作条件を結びつけて考えます。

こうした選択肢を一人で比較するのは簡単ではありません。

多くの書籍制作を経験している編集者は、構成や表現方法について複数の引き出しを持っています。
その知見を借りれば、自分一人では思いつかなかった方向も検討できます。

壁打ち相手は、代わりに答えを決める人ではありません。
企画を考えるための補助線を引き、発注担当者が判断できる状態をつくる人です。

レイアウトサンプルで、言葉にならない企画を見える形にする

「分かりやすい本にしたい」と話していても、発注側と制作側が同じ完成形を想像しているとは限りません。

ある人は図解中心の誌面を思い浮かべ、別の人はイラストを大きく使った誌面を想像しているかもしれません。
言葉だけで方向性を詰めると、認識のずれに気づかないまま話が進みます。

そこで役立つのが、レイアウトサンプルです。

株式会社ジー・ビーでは、図解やイラストを使った本をつくりたいものの、テーマや見せ方が定まっていない相談に対し、誌面のサンプルを提案することがあります。

一案だけを出して終わりにはしません。

同じ内容でも、図解を中心に整理した案と、イラストを大きく見せる案では、誌面の印象が変わります。
マンガを導入に使う案や、文章量を抑えて視覚的に展開する案も考えられます。

複数のサンプルを並べると、発注担当者は具体的に判断できます。

「こちらのほうが想定読者に合う」「分かりやすいが、少し軽く見える」「この見せ方なら展開を広げられそうだ」といった意見を出しやすくなるためです。

最初の提案で決まらないこともあります。

企画の狙いと誌面がかみ合うまで、内容やレイアウトの修正を重ねます。
大切なのは、最初に出した案を守ることではありません。
発注担当者が納得でき、制作側も実現可能だと判断できる形を探すことです。

実際に、こうした提案と修正を経て、企画が複数冊のシリーズへ発展した例もあります。

サンプルをつくれば、必ずシリーズ化するわけではありません。
ただ、言葉だけでは見えなかった企画を視覚化すると、社内でも方向性を判断しやすくなります。

図2 見せ方を比較して企画を具体化する
図解、イラスト、マンガの見せ方を比較して企画の方向性を決める図

壁打ちの精度は、共有する材料によって変わる

編集プロダクションには、テーマが決まっていない段階から相談できます。

ただし、共有する情報が多いほど、壁打ちの精度は高まります。

最初から完成した企画書を用意する必要はありません。
次のうち、一つでも分かっていることがあれば共有します。

  • 扱いたいテーマ
  • 想定している読者
  • 挑戦したいジャンル
  • 参考にしている既刊書
  • 避けたい見せ方
  • 希望する刊行時期
  • おおよそのページ数や予算
  • 社内から求められている条件

扱いたいテーマだけでも、壁打ちは始められます。

そこに想定読者や、「図解中心で見せたい」といった条件が加われば、企画の方向をさらに絞れます。

読者層が分かれば、言葉の難易度や情報量を検討できます。
ジャンルが分かれば、競合書との違いや、どのような棚で展開する企画なのかも考えられます。

壁打ちは、条件を伝えるだけの場でもありません。

発注担当者が「なぜこの本をつくりたいのか」「どこに面白さを感じているのか」を話すほど、企画の核が見えやすくなります。
対話に熱が帯びるにつれ、当初は見えていなかった切り口や展開案が生まれることもあります。

反対に、条件を何も共有せず、「面白い企画を考えてほしい」と任せきりにすると、提案の幅が広がりすぎます。
選択肢が多すぎて、かえって判断が難しくなりかねません。

壁打ちは、相手から答えを受け取る場ではありません。
互いに材料を出しながら、企画の解像度を高める共同作業です。

編集プロダクションを「アイデアの増幅器」として使う

よい企画は、最初から完成された形で現れるとは限りません。

「こんな本があったらよい」「このテーマを分かりやすく見せたい」といった小さな着想から始まり、対話を重ねるうちに形が見えてきます。

編集プロダクションに相談する価値は、案を一つ出してもらうことだけではありません。

企画、編集、デザインの経験をもとに、持ち込まれたアイデアを広げたり、要素を絞ったりしながら、一冊として成立する方向を探せます。

株式会社ジー・ビーが重視しているのは、「分かりやすさ」です。

図解で見せるのか、イラストで見せるのか、マンガで見せるのか。
どの情報を先に置き、どの順番で理解してもらうのか。
内容と表現を切り離さず、読者に届く形を検討します。

制作に手を抜かないことは、特別な強みではなく前提です。

売れるかどうかを事前に保証することはできません。
それでも、発注担当者と制作側の双方が納得できる企画を目指し、必要な提案と修正を重ねます。

一人で考えていると、アイデアが同じ場所を回り始めることがあります。

そこへ異なる経験や視点を加えると、見えていなかった読者、構成、見せ方が浮かびます。
編集プロダクションは、アイデアを代わりに生み出すだけでなく、すでにある着想を増幅する相手として活用できます。

まとめ|企画を一人で抱え込まず、壁打ちから始める

  • テーマが決まっていない段階でも、編集プロダクションへ相談できます
  • 図解、イラスト、マンガ、判型、色数を比較し、企画の選択肢を増やせます
  • 読者やテーマなどの材料を共有するほど、壁打ちの精度は高まります

企画を任されたからといって、最初から一人で完成形を出す必要はありません。

頭の中にある断片的な考えや迷いを人に話すだけでも、企画の現在地が見えてきます。
編集プロダクションを壁打ち相手にすれば、曖昧なアイデアを、社内で検討できる企画へ近づけられます。

株式会社ジー・ビーでは、テーマが決まる前の企画相談から、構成案、レイアウトサンプル、編集、デザインまで対応しています。
「何を相談すればよいか分からない」という段階でも構いません。
現在決まっていることや、迷っている点をお聞かせください。

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この記事の監修者
株式会社G.B.

株式会社G.B.

雑誌・書籍・ムックの編集・出版を中心に、
その他にも広告媒体の企画・編集・制作著作権の管理・運用、翻訳、その他上記に付帯する一切の業務を行う。

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