AI時代、一人で本づくりをするためには

「AIもあるし、パンフは社内で」と言われた担当者へ。
192ページ制作の仕事量から考える、内製・外注・AI活用の分かれ目

「AIもあるし、パンフは社内でできないかな」

「最初だけ外注して、ノウハウを覚えたら、次からは担当者一人で」

文章生成AI、デザインツール、ネット印刷が身近になった今、経営側から見れば、こうした方針は決して突飛ではありません。
文章をつくり、テンプレートへ流し込み、印刷を注文するところだけを見れば、パンフレットや小冊子を社内で制作するハードルは確かに下がっています。

ところが、実際に担当者へ渡されるのは、文章やデザインをつくる作業だけではありません。
何を誰に伝えるかを決め、各部署から原稿と写真を集め、必要に応じて取材し、事実関係を確認し、修正をまとめ、経営側の承認を取り、印刷まで止めずに進める。
これらもすべて「パンフを社内で」の中に含まれます。

出版社や編集プロダクションでは、編集者、ライター、デザイナー、校正者、印刷担当などが分担している仕事です。
版元編集者が一人で窓口を担う場合も、社内外の専門職と協働して一冊を進めます。
一般企業の担当者が通常業務と並行して一人で抱え、制作が止まったとしても、それは本人の能力不足とは限りません。
複数人・複数職種の仕事を、一人へ集めたこと自体に無理がある場合があります。

この記事では、内製を否定するのではなく、一人で進めるための時短方法と、その方法にも限界がある工程を分けます。
さらに192ページの書籍をモデルに、発注から納品までの仕事量を可視化します。
「大変そうです」ではなく、何人分の仕事があり、担当者が週何時間を確保すれば、いつ完成するのか。
社内で制作方針を話し合うための材料としてご覧ください。

編集者から見ると、「担当者一人で」は複数職種の兼任です

企画、素材回収、取材・執筆、編集、デザイン、校正、印刷進行。
制作ソフトの操作を覚えるだけでは、これらの役割はなくなりません。
担当者を助けるには、努力や慣れだけでなく、仕事を分ける設計が必要です。

3行でわかる、この記事の結論

・AIやテンプレートで、文章作成、文字起こし、レイアウトの時間は短縮できます。
・しかし「パンフは社内で」の一言には、企画、素材回収、社内調整、品質責任まで含まれます。
・編集者が全工程を時間と役割に分解し、内製、部分外注、一括依頼の境界線を示します。

AIによって「形にする」ハードルは下がった

以前の冊子・本づくりでは、文章作成、写真加工、誌面デザイン、印刷入稿のそれぞれに専用の知識やソフトが必要でした。
現在は、文章生成AI、文字起こしサービス、デザインテンプレート、オンデマンド印刷などを組み合わせることで、個人や一人の担当者でも制作物を形にしやすくなっています。

たとえば、社内インタビューの音声を文字に起こし、AIで要点を整理し、テンプレートへ流し込み、少部数をネット印刷するところまで、一人で進めることもできます。
確認者が少なく、素材がそろい、納期に余裕がある小規模な制作物なら、内製は有力な選択肢です。

図1 「パンフは社内で」に含まれる3種類の仕事

形にする技術

・文章の下書き
・文字起こし
・テンプレートデザイン
・少部数印刷

制作を進める管理

・資料の回収
・取材・確認の日程調整
・修正の一本化
・締切の管理

公開する責任

・事実確認
・掲載許可・権利確認
・企業としての承認
・品質の最終判断

AIで大きく短縮できるのは左側。中央と右側の仕事は、担当者か専門家が引き受ける必要があります。

「自分でつくれる」と「一人で回せる」は違う

冊子・本づくりで見落とされやすいのは、制作作業とプロジェクト管理の違いです。
文章やデザインを一人で作成できても、関係者から素材を集め、内容を確認し、修正を確定し、印刷まで止めずに進められるとは限りません。

制作が止まる理由は、「文章が書けない」ことだけではありません。
写真が集まらない、取材対象者の日程が合わない、部署ごとに異なる修正が届く、最終段階で経営者の意見が入る。
こうした問題の方が、納期へ大きく影響することもあります。

編集者の仕事は、原稿を書くことだけではありません。
何を載せ、何を削り、誰に確認し、いつ確定するかを決め、複数の専門職と関係者をつなぎます。
一般企業の担当者や少人数の版元編集者が、この交通整理まで一人で担う場合、制作時間だけでなく、社内で動ける権限と協力体制も必要になります。

本づくりで本当に必要なのは、「制作担当者」だけではありません

原稿を書く人に加え、「何をいつまでに決めるか」を管理し、関係者から回答を回収し、最終的な判断を確定する役割が必要です。
制作ソフトの操作を覚えるだけでは、この役割を代替できません。

なぜ、パンフレットの話で192ページの本をモデルにするのか

ここで192ページの本を取り上げるのは、企業のパンフレットにも、それだけのページ数が必要だと言いたいからではありません。

本づくりに必要な仕事を、見落とさずに分解するためです。

192ページ前後の本をつくる場合、企画、取材、執筆、資料収集、構成、編集、デザイン、校正、権利確認、印刷進行など、制作に必要な工程が一通り現れます。

さらに、それぞれの工程を進めるために、取材対象者、社内担当者、経営者、外部の制作スタッフなど、多くの関係者との調整が発生します。

つまり、192ページの本は、制作物そのものというより、本や冊子をつくる仕事の全体像を確認するためのモデルとして使いやすいのです。

もちろん、16〜24ページの会社案内や商品パンフレットなら、原稿量やデザインするページ数は大きく減ります。

しかし、ページ数が少なくなっても、仕事の種類までなくなるわけではありません。

パンフレットでも、次のような作業は必要です。

  • 誰に、何を伝えるかを決める
  • 掲載する情報や写真を社内から集める
  • 内容を整理し、ページ構成を考える
  • 原稿を書き、読みやすく編集する
  • デザインし、文字や写真を配置する
  • 事実関係や表記を確認する
  • 関係部署や経営者の承認を得る
  • 修正をまとめ、印刷会社へ入稿する

192ページの本と16〜24ページのパンフレットでは、作業の「量」は違います。

しかし、企画、素材回収、社内調整、品質確認といった作業の種類は共通しています。

AIを使えば、文章の下書き、文字起こし、情報整理、デザイン案の作成などは短縮できます。

一方で、何を掲載するか、どの情報が正しいか、誰の承認が必要か、複数の修正をどうまとめるか、どの品質で完成とするかは、人が判断しなければなりません。

そのため、ページ数の少ないパンフレットであっても、一人の担当者が通常業務と並行してすべてを担えば、想像以上に時間がかかります。

AIによって制作物を「形にする」速度は上がっても、制作全体を一人で「回す」負担まで自動的になくなるわけではないのです。

表1 192ページの本とパンフレットに共通する仕事
仕事の種類 192ページの本 16〜24ページのパンフレット
企画・読者設定 必要 必要
素材・情報の回収 対象が多く、長期間になりやすい 量は減るが、社内からの回収は必要
取材・執筆・編集 大規模 小規模になるが必要
デザイン・校正 ページ数に応じて多い ページ数に応じて減る
社内確認・承認 必要 必要
権利・事実確認 必要 必要
進行・修正管理 複数人・長期間 短期間でも必要
ページ数が減ると制作量は減りますが、企画・判断・確認・進行管理という仕事は残ります。

ここからは、制作工程が最も見えやすい192ページの本をモデルに、仕事を一つずつ分解します。

そのうえで、どの仕事はページ数とともに減るのか、どの仕事はパンフレットでも残るのか、AIで短縮できるのはどこかを見ていきます。

192ページの本をつくる「生産モデル」

ここからは、A5判または四六判・192ページの本を制作する場合を想定し、必要な仕事を分解します。
案件によって大きく変わるため、以下は見積金額を算出するための表ではなく、仕事量を理解するための一例です。

  • 8章前後、本文8万〜10万字程度
  • 経営者や社員など10名前後へ取材
  • 写真、図版、年表などを掲載
  • 社外配布または一般販売に耐えられる品質を想定
  • 企画開始から納品まで5〜8か月程度
表2 192ページ制作の延べ工数モデル(1案件の例)
工程 主な作業 制作側の工数 発注側の工数
企画・仕様設計 目的、読者、用途、ページ数、予算の整理 40時間 15時間
資料収集・調査 社内資料、写真、沿革、過去記事などの整理 50時間 30時間
構成・目次作成 章立て、ページ配分、取材項目の設計 40時間 10時間
取材準備・調整 対象者選定、質問作成、日程調整 30時間 15時間
取材・文字起こし 取材実施、記録、内容整理 50時間 15時間
執筆 8万〜10万字程度の原稿作成 160時間 10時間
編集・リライト 重複整理、補足、表現と流れの調整 120時間 20時間
写真・図版・権利確認 素材選定、追加手配、掲載許可の確認 50時間 20時間
デザイン・組版 表紙、本文設計、全ページへの反映 120時間 10時間
校正・修正 初校、再校、事実確認、修正反映 100時間 40時間
印刷・製本・納品 入稿、仕様確認、配送手配 25時間 5時間
制作進行 会議、連絡、期限管理、指示の取りまとめ 80時間 20時間
合計 延べ工数の一例 約865時間 約210時間

制作側の約865時間は、1人月を160時間とすると約5.4人月です。
実際には編集者、ライター、デザイナー、校正者などが並行して動くため、「5.4か月あれば一人で終わる」という意味ではありません。
それでも、一冊の裏側で複数人分の仕事が動いていることはわかります。

また、発注企業側にも約210時間の仕事があります。
資料提供、取材への参加、事実確認、部署間の調整、最終承認などは、制作会社が代わりに決められないためです。
すべてを外注しても、発注側の対応がゼロになるわけではありません。

AIで30%短縮できても、担当者一人なら何週間かかるのか

AIによって下書き、文字起こし、要約、比較作業などを短縮できます。
ただし、ここではあえてかなり楽観的に、「制作側の全作業を一律30%短縮できる」と仮定してみます。
実際には、取材調整、社内承認、権利確認、印刷期間など、30%短縮できない工程も多くあります。

楽観的な試算でも残る仕事量

約865時間 × 70% = 約606時間。
通常業務と並行して週10時間を使う場合、単純計算で約61週間です。
ここに確認待ちや印刷期間が加わります。

表3 一人の担当者が確保できる時間と、単純計算上の期間
本づくりに使える時間 約606時間を消化する期間 現実的な位置づけ
週5時間 約121週間 通常業務の片手間では長期化しやすい
週10時間 約61週間 週1日強を継続して確保する必要がある
週20時間 約31週間 通常業務の半分近くを割く体制
週40時間 約16週間 ほぼ専任でも確認待ち・印刷期間は別に必要

AIを使えば一人で制作できることと、一人で短期間に納品できることは別です。
経営側から内製を求められた場合には、「大変です」「できません」と感覚だけで伝えるより、週何時間を制作業務として確保し、誰が他部署から素材を回収し、誰が最終承認するのかを生産計画として示す方が、話し合いを進めやすくなります。

AIは「使うか」ではなく「どの工程で使うか」

出版やコンテンツ制作の現場では、AIの利用に慎重な意見があります。
文章、写真、イラストなどの最終成果物にAIを使用する場合、著作権、事実関係、表現の独自性、品質の安定性などを確認しなければならないため、その慎重さ自体は必要です。

一方で、「AIを使うか、使わないか」という二択に議論が止まると、制作工程そのものは改善しません。
重要なのは、AIが得意な単純作業や比較作業を切り出し、人が判断や表現に時間を使えるようにすることです。

図2 AI・発注企業・専門家の役割分担

AIで圧縮する工程

・文字起こし・要約
・資料の分類
・構成案の比較
・修正・進捗の一覧化

発注企業が持つ判断

・目的と読者
・正しい事実・公開範囲
・社内の合意形成
・最終承認

専門家が担う制作

・取材・執筆・編集
・デザイン・校正
・イラスト・漫画
・制作進行・印刷管理

AIに任せる範囲、自社で判断する範囲、専門家へ依頼する範囲を分けることが、AI時代の制作設計です。

株式会社ジー・ビーのAI活用の考え方

株式会社ジー・ビーでは、AIによって短縮できる工程を検討しながら、取材、執筆、編集、デザイン、イラスト、漫画などを、それぞれの専門家へ切り分けて進めています。

たとえば、取材音声の文字起こしや資料整理にはAIを活用しながら、実際の取材は編集者やライターが担当します。
イラストや漫画が必要な場合も、最終制作物へAI生成物を無条件に流し込むのではなく、目的、品質、権利条件に応じて、イラストレーターや漫画家、デザイナーが担う工程を設計します。

AI活用の目的は、品質を落として同じ価格で提供することではありません

単純作業や確認作業を圧縮し、取材、編集判断、図版設計、校正など、専門家が本来時間をかけるべき仕事へ人の時間を振り分けることです。
制作スピード、品質、工程の見える化を同時に改善するために活用します。

パンフレットも「一人で簡単」ではない

パンフレットや小冊子はページ数が少ないため、「AIとテンプレートがあれば、担当者一人でつくれる」と見えやすい制作物です。
しかし、企画の整理、原稿・写真の回収、打ち合わせ、デザイン方針の決定、社内確認、校正、印刷仕様の確定といった固定的な工程は、ページ数に関係なく必要です。

そのため、24ページは192ページの8分の1だから、工数や制作費も8分の1になるとは限りません。
特に初めて制作するパンフレットでは、デザインと進行ルール、素材の集め方、承認経路をゼロからつくるため、初回の負担が相対的に大きくなります。

「パンフを社内でつくる」という方針は、文章担当者を一人置くことではなく、小さな制作部門の役割を社内へ持つことに近いものです。
継続制作を想定するなら、担当者のスキルだけでなく、その役割を支える時間と仕組みまで用意する必要があります。

表4 ページ数別の生産モデル
制作物 主な用途 制作側の延べ工数例 発注側の工数例 制作期間の目安
16〜24ページ 会社案内、商品パンフレット 120〜200時間 30〜60時間 1.5〜3か月
80ページ前後 周年誌、研修冊子、ムック 300〜500時間 60〜120時間 3〜5か月
192ページ前後 社史、理念本、一般書籍 700〜1,000時間 120〜250時間 5〜8か月

小さな制作物は、試作と内製化の準備に向いている

小型パンフレットを最初の一冊として制作し、読者の反応や社内の制作体制を確認する方法は有効です。
今後も同じ形式で量産する、より大きな社史や書籍へ展開する、初回だけ専門家と進めてテンプレートや制作ルールを社内へ移す、といった計画があれば、最小構成の試作(MVP)として意味を持ちます。

反対に、単発で終わる小冊子へ毎回ゼロから企画、デザイン、承認体制を立ち上げる場合、発注側・制作側の双方にとって効率が上がりにくくなります。
制作物単体だけでなく、その後に誰が更新し、どのように量産・改訂するのかまで考えることが重要です。

一人で本づくりを進めるための時短術

内製する場合に必要なのは、文章を速く書くことだけではありません。
最も大きな時短になるのは、手戻りと確認待ちを減らすことです。

  1. 最初に1枚の企画シートをつくる:目的、読者、完成後の用途、必ず入れる内容、納期、最終決裁者を1ページにまとめます。
  2. 管理表を一つにする:原稿、写真、取材、確認状況を別々のメールで管理せず、誰が見ても最新状況がわかる表へ集約します。
  3. 確認のタイミングを固定する:構成、原稿、デザインの3段階など、何をどの時点で確定するかを先に決めます。
  4. AIへ渡す前に資料の出所を残す:要約や下書きを速くしても、出典がわからなければ事実確認に余計な時間がかかります。
  5. 原稿より先に素材を集める:写真、年表、商品資料、過去記事などを早期に一覧化すると、取材や構成の不足が見えます。
  6. デザインと表記をテンプレート化する:見出し、写真の扱い、用語、数字表記などを最初に決め、ページごとの判断を減らします。
  7. 納品日から逆算する:印刷日だけでなく、最終承認日、校正日、デザイン確定日、原稿確定日を先に置きます。

関連記事との役割分担

この記事は「どれだけの仕事量を誰が持つか」を扱います。
カレンダー上で、発売日・納品日から各工程をどう逆算するかは、別記事「逆算型スケジュール設計」で詳しく解説します。
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最初だけ外注し、その後に内製化するための条件

「最初の一冊でノウハウを学び、次から自社で制作する」という方法は可能です。
ただし、デザインテンプレートや手順書を受け取るだけでは継続しません。
担当者の通常業務を減らさず、他部署から素材を集める権限も与えず、確認する経営側の時間も決めないままでは、ノウハウを知っていても制作は止まります。

表5 内製化に必要な社内条件
必要な条件 具体的に決めること
制作時間 担当者が週何時間を制作業務として使えるか
回収する権限 他部署へ原稿・写真・確認を依頼し、期限を管理できるか
最終決裁 誰の承認で内容・表紙・印刷を確定するか
制作ルール テンプレート、表記、写真、校正指示の形式があるか
データ管理 原稿・画像・権利情報を一元管理できるか
引き継ぎ 担当者の異動・退職後も続けられるマニュアルと保管場所があるか
継続する理由 定期発行、量産、研修利用など、社内で続ける目的があるか

内製化で移すべきは、ノウハウだけでなく「制作体制」です

テンプレートや手順に加え、制作時間、社内協力、回収権限、決裁者、データ管理の仕組みまで社内へ移す必要があります。
担当者一人が「詳しくなった」だけでは、継続的な制作体制にはなりません。

どの状況になったら、外部へ任せるべきか

外注は、自社に制作能力がないことを意味しません。
一般企業の社内担当者だけでなく、少人数の版元編集部でも、企画、外部スタッフの手配、原稿確認、制作進行が一人へ集中すれば同じ問題が起こります。
限られた時間の中で、社内が持つべき判断と、外部へ渡すべき制作・管理を分ける手段として考えます。
次の条件が増えるほど、制作作業そのものより進行管理の負担が大きくなります。

□ 80ページを超える □ 取材対象者が5人以上いる
□ 確認する部署が3部署以上ある □ 動かせない納品日・発売日がある
□ 原稿を書く担当者が決まっていない □ 写真や資料が整理されていない
□ 一般販売・広範囲への配布を予定している □ 担当者が週10時間以上を確保できない
□ 社内にデザイン・印刷の知識を持つ人がいない □ 経営者・役員の確認が必要
□ 制作物が企業の信用に直接関わる □ 改訂・シリーズ化を予定している

あくまで目安ですが、0〜2項目なら内製を検討しやすく、3〜5項目なら一部工程の外注、6項目以上なら制作進行を含めた体制設計を検討する価値があります。
数だけで機械的に決めるのではなく、納期と担当者の確保時間をあわせて判断します。

外注は、どの段階からでもできる

外部へ依頼するといっても、企画から印刷までをすべて任せる必要はありません。
現在どこまで進んでいるかに応じて、必要な工程だけを切り出せます。

表6 現在の状況と、外部へ任せられる工程
現在の状況 外部へ任せられる主な工程
内容は決まっているが文章にできない 取材、執筆、編集
原稿はあるが、本としてまとまらない 構成整理、リライト、ページ設計
原稿も構成もある デザイン、組版、校正、印刷
資料だけが大量にある 資料整理、企画、構成、取材設計
社内制作が途中で止まった 進行整理、残工程の引き継ぎ、再スケジュール
何をつくるべきか決まっていない 目的整理、媒体・仕様の提案、予算設計
制作全体を管理する人がいない 編集・制作進行を含む一括対応

素材が多いほど、安く・速く・具体的につくりやすい

本づくりでは、利用できる原稿、写真、社内資料、過去の記事、年表、商品資料などが多いほど、情報収集や取材にかかる作業を抑えやすくなります。
その結果、制作期間を短くする、費用を抑える、内容の具体性を高めるといった調整がしやすくなります。

ただし、資料が多くても、内容が古い、数字が食い違う、出所が不明といった場合には整理作業が増えます。
「量が多いこと」だけでなく、使用可否や最新版がわかる状態にしておくことが重要です。

表7 素材の準備状況と、必要になる制作作業
発注時の状況 制作側で必要になる主な作業 費用・期間の傾向
原稿・写真・資料が整理済み 編集、デザイン、校正、印刷中心 抑えやすく、進行も速い
資料はあるが未整理 資料確認、構成、追加取材、執筆 整理量に応じて調整
資料が少ない 調査、取材、企画、執筆から対応 作業範囲が広くなる
目的・内容も未定 用途整理、企画設計、仕様提案から対応 初期検討の時間が必要

資料がなくても相談はできます

資料が少ない場合は取材や調査から制作できます。
反対に、使える素材を多くご用意いただければ、費用、品質、制作速度のバランスを取りやすくなります。
株式会社ジー・ビーでは、お客様の状況に合わせて担当範囲と費用感をすり合わせます。

問い合わせ時に、すべてを決めておく必要はない

本づくりの相談では、ページ数、判型、取材人数、原稿の担当などを最初からすべて決めておく必要はありません。
制作会社側では、目的、読者、希望納期、予算、素材の有無、社内の確認体制などから、その案件で必要な項目を選んで確認します。

株式会社ジー・ビーが公開している「発注書セット」も、問い合わせる企業が全項目を記入してから提出するためだけの書類ではありません。
当社側が、企業や案件の性質に合わせて確認すべき項目を整理したものです。
相談時には、この中から必要な内容を一部お聞きしながら、制作条件を組み立てます。

本づくりで確認される項目を見てみる

課題・目的、予算、ページ数、発行日、取材・原稿・写真・図版の担当範囲などを整理した制作条件テンプレートです。
わからない項目は「未定」のままでも構いません。

発注書セット/制作条件整理テンプレートを見る

まとめ 「社内でつくる」を、一人へ任せることにしない

「AIもあるし、パンフは社内で」という方針そのものが間違っているわけではありません。
小規模な制作物で、素材と確認体制がそろい、担当者の時間を正式に確保できるなら、内製は十分に可能です。

ただし、「社内でつくること」と「担当者一人へ任せること」は同じではありません。
AIで文章や整理の時間を短縮しても、企画、素材回収、取材、社内調整、品質判断、印刷進行の役割は残ります。
192ページの本であれば、通常業務の片手間で進める前に、まず誰が何時間動くのかを可視化しなければなりません。

本づくりのプロである編集者や編集プロダクションは、担当者の代わりに「無理です」と言うためにいるのではありません。
工程を分解し、AIで短縮する部分、自社で判断する部分、ライター、デザイナー、校正者、イラストレーター、漫画家などへ任せる部分を設計します。

「社長、それ、1人の仕事じゃない」と感覚だけで訴えるのではなく、必要な工程、時間、人数を示して話し合う。
そのための生産モデルを持つことが、AI時代の内製化と外注判断の出発点です。

企画が固まっていない段階からご相談いただけます

現在ある資料、社内で確保できる時間、ご予算、希望納期を確認し、AIを含む制作手段と各分野の専門家を組み合わせてご提案します。
原稿やページ数が未定の段階はもちろん、「どこまでを社内で行い、どこから外部へ任せるか」という体制設計からご相談いただけます。

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投稿者

  • 眼鏡をかけたスーツ姿の担当者のプロフィール写真

    出版社・編集プロダクションで、営業窓口、案件統括、事業戦略、採用、社内IT運用などを横断して担当。
    書籍・冊子・Webコンテンツの企画相談から、制作体制の設計、見積もり、スケジュール調整、業務改善まで、発注者と制作現場の間に立って実務を進めている。
    本メディアでは、編集プロダクションへの発注方法、本づくりの進め方、制作費やスケジュールの考え方、営業・AI活用などについて、現場で起きやすい認識のずれや失敗例も踏まえながら、発注者・制作者双方に役立つ情報を紹介する。

この記事の監修者
株式会社G.B.

株式会社G.B.

雑誌・書籍・ムックの編集・出版を中心に、
その他にも広告媒体の企画・編集・制作著作権の管理・運用、翻訳、その他上記に付帯する一切の業務を行う。

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