【企業本・社長本】トップの想いを言語化し、企業のファンを増やすブックライティング術
「会社の理念や社長の想いを、うまく言葉にできない」
「長い歴史はあるが、何を強みとして打ち出せばよいか分からない」
企業出版や経営者本を検討する場面では、こうした悩みが生まれます。
ただし、経営者の想いを丁寧に聞き取り、そのまま文章にすればよいわけではありません。
企業が伝えたいことだけを並べると、会社案内や採用パンフレットのような内容になり、読者が手に取る理由が弱くなるからです。
必要なのは、企業の価値観や実績を、社会や読者の関心と結びつけることです。
この記事では、商業出版と企業出版の双方に深く携わってきた株式会社ジー・ビーが、企業や経営者の独自性を掘り起こし、読者が興味を持てる内容へ整える取材・執筆のポイントを紹介します。
記事の目次
企業の想いを、そのまま書いても読者には届かない
企業出版の企画では、最初に企業側から多くの情報が出てきます。
- 創業から現在までの歴史
- 経営理念
- 商品やサービスへのこだわり
- 社員に伝えている言葉
- 今後の事業展開
- 社会へ果たしたい役割
どれも非常に重要な内容です。
しかし、それらを漏れなく載せるだけでは、読者に届く本にはなりません。
企業側にとって大切な出来事が、読者にとっても同じように興味深いとは限らないからです。
たとえば、創業から50年続いていることは、企業にとって大きな実績です。
ただ、「50年の歴史があります」と伝えるだけでは、読者はその価値を判断できません。
なぜ長く続けられたのか。
どのような危機を乗り越えたのか。
何を変え、何を変えなかったのか。
そして何より、その姿勢が世の中にどのような示唆を与えるのか。
こうした、「読者との接点」まで掘り下げて初めて、企業の歴史や経営者の想いが「読まれるコンテンツ」になります。
「伝えたいこと」と「読みたいこと」が重なる場所を探す
企業出版の書籍の一部が「単なる宣伝」に見えてしまう大きな原因は、企業側の視点だけで構成されていることです。
「当社はこのような会社です」
「このサービスには、このような強みがあります」
「私たちは、この理念を大切にしています」
どれも企業にとっては重要な情報です。
しかし、それだけでは、まだ読者が本を読む理由になりません。
読者が関心を持っているのは、その企業の商品や理念そのものではなく、自分自身が抱えている課題だからです。
そこで、その企業の強みやサービスを、世の中で起きている変化や課題と結びつける必要があります。
たとえば、ある企業が人手のかかる業務を効率化するサービスを提供しているとします。
企業側が伝えたいのは、
- 自社サービスの仕組み
- 導入による効果
- 開発に込めた経営者の想い
- 他社サービスとの違い
といった内容でしょう。
ただ、これらを冒頭から説明しただけでは、サービス紹介をまとめたパンフレットになってしまいます。
すでにその企業や商品に関心を寄せている人には刺さるかもしれませんが、そうではない人が読みたい内容にはなっていません。
そこでまず考えたいのは、そのサービスが必要とされる「社会的な背景」です。
たとえば、
- ある業界で人手不足が続いている
- 現場の業務が特定の人へ集中している
- 人材を採用しても、教育に時間がかかる
- 従来の仕事の進め方では、現場の負担を減らせない
といった課題があります。
こうした世の中のニーズを起点に話を始めれば、読者は「自分の会社に関係がある」と感じられます。
さらに、
「限られた人員で、どのように現場を回せばよいのか」
「人を増やさずに、一人ひとりの負担を軽くする方法はあるのか」
「属人的な仕事を、組織の仕組みへ変えられないか」
という、読者自身の「知りたいこと」へつなげます。
その問いに対する一つの解決策として、企業のサービスや経営上の知見を紹介するのです。
流れを整理すると、次のようになります。
企業が伝えたいこと
自社のサービスや強みを知ってほしい
世の中のニーズ(課題)
業界内の人手不足と現場の負担増
読者が知りたいこと
限られた人数で仕事を回す方法を知りたい
企業が提供できる答え
自社の経験、ノウハウ、サービスを通じて解決策を示す
この順番であれば、自社のサービスを一方的に宣伝するのではなく、読者の課題を解決する情報として提示できます。
つまり、企業の想いが社会でどのような意味を持つのかを見つけ、読者が必要としている文脈へ置き直すという作業です。
「何を伝えたいか」から始めるのではなく、なぜ今、それを伝える必要があるのかまで掘り下げる。
そこに、企業出版を読まれるコンテンツへ変える編集があります。
経営者自身が、自社の独自性に気づいていない場合もある
企業出版の取材を進めているとき、社長や経営陣に「競合他社と比べたときの自社の強み」を尋ねても、すぐに明確な答えが返ってくるとは限りません。
特に、長く同じ会社や業界で働いている人ほど、自社の特徴を「普通のこと」と捉えがちです。
そのような状況で編集サイドに求められるのは、「比較の視点」を持ち込んで企業の独自性に迫ることです。
- 業界全体では、一般的にどのような経営が行われているか
- 同業他社は、どんな点を強みとして発信しているか
- 求職者は、その業界にどのような印象を持っているか
- 顧客は、企業選びで何を重視するか
- その企業の慣習は、業界内でも一般的なのか
こうした外部の情報と照らし合わせると、その企業が「普通」としてきたことの中に、非常にユニークで競争力のある価値が隠れている場合があるのです。
【実例】「特徴がない」と語る製造業の独自性を掘り起こす
過去に株式会社ジー・ビーで、50年以上の歴史を持つ製造業の会社の「採用強化」を目的とした企業出版を担当した事例を紹介します。
経営スタイルは堅実で、派手な事業展開や分かりやすく尖った社風があるわけではありません。
取材前の段階では、先方の経営陣から、
「うちは普通の会社です」
「取り立てて特徴がありません」
「だからブランディングに困っているのです」
という言葉が何度も出てきました。
このままでは、「真面目に事業を続けてきた会社」という説明だけで終わってしまいます。
もちろん、それ自体に価値があるのですが、採用候補者がその会社を選ぶ理由としては、まだ抽象的です。
そこで編集チームは、まずその業界で何が「常識」とされているのかを調べました。
業界内では、企業がどのような体制で仕事を進めているのか。
顧客との関係や人材育成、事業規模、現場と経営陣との距離感など、さまざまな比較材料を集めました。
その情報をもとに、インタビューを進めていきます。
「業界では、このようなプロセスが一般的なようですが、御社ではどうしていますか」
「この判断は、他社でも同じなのでしょうか」
「なぜ、その方法を長く続けているのですか」
比較を含んだ問いを重ねると、経営陣が「普通」と考えていた行動の中に、独自性が見えてきました。
経営陣の多くは長く同社に勤めており、業界内の横のつながりも多くありませんでした。
そのため、自社のやり方を外部と比べる機会が少なかったのです。
自社に「特徴がなかった」のではなく、特徴として「認識されていなかった」だけでした。
ここで大切なのは、独自性を無理に作り上げたわけではないことです。
すでに存在していた特徴に私たちが光を当てたことで、「求職者が知りたい価値」を見つけ出すことが出来ました。
良いインタビューは、「想い」より先に事実を聞く
経営者への取材では、つい次のような質問から始めたくなります。
「経営で大切にしている想いは何ですか」
「顧客や社員へ伝えたいメッセージを教えてください」
「今後、会社をどうしていきたいですか」
もちろん、こうした質問も必要です。
ただし、「想い」にフォーカスした抽象的な問いだけでは、その答えも抽象的になりやすいものです。
そこで、想いを言語化するには、まず事実を聞くことが大切です。
- 最近、難しい判断をした場面
- 顧客から強く求められたこと
- 社員との意見が分かれた出来事
- 事業を続けるうえで諦めなかったこと
- 他社と異なると言われた経験
- 長年変えずに守っている習慣
- 過去に失敗し、見直した仕組み
具体的な出来事を聞いたあとで、
「なぜ、その判断をしたのですか」
「ほかの選択肢ではなく、それを選んだ理由は何ですか」
と掘り下げます。
そうして行動の理由をたどっていくと、その企業が何を大切にしているかが見えてくるのです。
理念を先に説明してもらうのではなく、事実から理念を発見する。
この順番にすることで、きれいに飾られた言葉だけではない、経営者や企業の根底に流れるカルチャーに触れることができるのです。
商業出版で鍛えた「読者目線」が、企業出版にも活きる
企業出版と商業出版では、出版の目的が異なります。
企業出版は、認知拡大、ブランディング、採用強化など、企業側の課題を起点とした出版形態です。
一方の商業出版では、読者の課題や関心を起点に本が作られます。
もちろん、企業出版においても読者の課題解決を目指し、商業出版においても著者の認知拡大やブランディングにつながるのですが、大きな目的はその2つに分けられます。
株式会社ジー・ビーでは、商業出版で培ってきた「読者目線」を企業出版に持ち込むことで、読者にとっても企業にとっても価値ある一冊へと仕上げています。
- 誰が読む本なのか
- その人は何に関心があるか
- どの言葉なら手に取りたくなるか
- どの順番なら読み進められるか
- 企業の話を、どの社会的テーマへつなぐか
- 読後に企業をどう理解してほしいか
企業側の要望をそのまま形にするだけでなく、読者の視点を持ち続けること。
それによって、多くの読者が楽しみながらその企業のファンになれる書籍が完成します。
そこに、商業出版を主戦場とする編集プロダクションが企業出版を手がける価値があるのです。
まとめ|企業の想いは、読者との接点を見つけて初めて届く
経営者の言葉をそのまま文章にするだけでは、企業の価値は十分に伝わりません。
企業が伝えたいことと、読者が知りたいことの接点を探す
業界や他社との比較から、自社では見えない独自性を掘り起こす
抽象的な理念より、具体的な行動や判断から想いを言語化する
「特徴がない」と感じる企業にも、長く続けてきた判断や習慣があります。
それを外部の視点から捉え直し、社会や読者の関心と結びつける。
この編集によって、企業の想いは、読者が自分ごととして受け取れるコンテンツになります。
株式会社ジー・ビーでは、採用強化や認知拡大、ブランディングを目的とした企業出版に対応しています。
企画設計、業界調査、経営者・社員への取材、構成、執筆、デザインまで、読者目線で魅力ある一冊を制作します。
- この記事の監修者
-
株式会社G.B.
雑誌・書籍・ムックの編集・出版を中心に、
その他にも広告媒体の企画・編集・制作著作権の管理・運用、翻訳、その他上記に付帯する一切の業務を行う。
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