書籍は企画・構成で決まる!売れる本の「土台作り」の全貌

魅力的な著者が決まり、話題性のあるテーマも見つかった。
市場調査を行い、競合書との差別化も考えた。
それでも、その企画が読者に届く本になるとは限りません。

企画段階で抜け落ちやすいのが、「誰が、どのような場面でこの本を読み、何を得たいのか」という視点です。
読者像が曖昧なまま構成を組むと、情報量は十分でも、読みどころが伝わらない本になってしまいます。

書籍の企画・構成案は、コンテンツを順番に並べるためだけのものではありません。
読者がどこで興味を持ち、どの順番なら理解しやすく、最後まで読み進められるかを考える設計図です。

この記事では、健康本、レシピ本、ビジネス書、児童書など幅広いテーマの書籍を、多様な読者層に向けて制作してきた株式会社ジー・ビーの編集チームが、読者に届く企画・構成案の考え方を紹介します。

良い企画・構成案は、「誰が読むのか」から始まる

書籍企画を考えるとき、最初に注目されやすいのはテーマや著者です。

「この著者には発信力がある」

「いま注目されているテーマである」

「競合書とは違う切り口がある」

いずれも重要な要素です。
ただし、それだけでは一冊の本としての形は決まりません。

著者の知識や経験のうち、何を取り出すのか。
どこから説明を始め、どの深さまで掘り下げるのか。
専門用語をどこまで使い、どのような事例を入れるのか。

これらの判断基準になるのが、読者像です。

たとえば、同じ「働き方」を扱う本でも、社会人生活が始まったばかりのビジネスパーソンに向けるのか、部下を持ち始めた管理職に向けるのかで、必要な内容は変わります。

新社会人向けなら、自らの仕事のクオリティを高めるためのノウハウや、キャリアプランのつくり方などが求められるかもしれません。
管理職向けなら、部下との接し方や組織運営の悩みに対する視点が中心になるでしょう。
テーマが同じであっても、読者が違えば構成も変わるのです。

そのため、企画・構成案の段階では、次のような点を具体化していきます。

  • 主な読者はどのような人か
  • その読者は何に困っているか
  • すでに何を知っているか
  • 読後にどう変わってほしいか
  • どの程度の専門性なら負担なく読めるか
  • どのような情報の見せ方なら興味を持てるか

「誰が何のために読むのか」を考え続けることが、良い企画と良い構成につながります。

台割は、ページを埋める表ではなく読書体験の設計図

企画の方向性が固まったら、次に章構成や台割を作成します。
台割とは、どのページにどんなコンテンツを掲載するかを整理した、本全体の設計図のことです。
ページ数、見出し、本文、図版、写真、コラムなどの配置を一覧にします。

しかし、空いているページへコンテンツを順番に放り込んでいくだけでは、台割の役割を果たしません。

大切なのは、読者がページをめくる流れを想像することです。
たとえば、本の最初から専門的な説明が続けば、そのテーマに関心がある読者でも離脱しやすくなります。
かといって、問題提起や前提情報の整理ばかりにページを割いてしまうと、読者が期待している情報密度に届かない可能性があります。

そこで、構成案や台割を作る際には、次のような流れを検討します。

  • 読者の共感を引きつけやすい話題から始める
  • 基礎知識を示してから具体論へ進む
  • 理論のあとに事例を置く
  • 文章が続く場所に図解や写真を入れる
  • 章ごとに小さな理解や納得をつくる
  • 本全体で内容の重複や不足がないか確認する

著者の強みや市場性だけで売れるとは限らない

書籍企画では、著者の知名度や発信力、市場の動向を調べます。
似たようなテーマの書籍の売れ行き、SNS上の反応、検索されている言葉なども、企画を検討する材料になります。

ただし、こうしたデータだけを積み上げても、読者目線のある企画になるとは限りません。

たとえば、著者が豊富な専門知識を持っていると、その知識をできるだけ多く本に入れたくなります。
しかし、読者が知りたいことと、著者が語りたいことは、必ずしも一致しません。

また、競合書籍との差別化を意識しすぎて、読者にとって必要性の低い特徴を前面に出してしまう場合もあります。

そのため、企画を考える際には著者、市場、読者の3つを分けて捉える必要があります。

図 著者・市場・読者の三つの視点
著者の視点 市場の視点 読者の視点
何を知っているか
どのような経験があるか
何を伝えたいか
どのようなテーマが、なぜ注目されているか
どれぐらいの人数に注目されているか
競合書籍に不足しているものは何か
何に困っているか
お金を払ってでも解決したい困りごとか
何を知れば解決できるか
三つが重なる場所を探すことで、本の核が見えてきます。

3つが重なる場所を探すことで、本の核が見えてきます。

著者の魅力を生かすことと、読者に伝わることは別の問題です。
企画・構成案では、その間をつなぐ編集が求められるのです。

【実例】複雑なテクノロジー知識を小学生にどう伝えるか

株式会社ジー・ビーが制作した、子ども向けのテクノロジー解説本での事例を紹介します。

複雑な仕組みや専門用語があふれるIT知識を、小学生にも理解できるような日本語で表現する必要がありました。
専門的に正しいだけでは足りず、子どもが読んで意味を理解できるか。
そもそも、ページを開いて読みたいと思えるか。
企画・構成案の段階から、読者に合わせて内容を組み替える必要がありました。

まず行ったのは、子ども向けにつくられているさまざまな書籍を読み込むことです。

同じIT分野の本だけには限定せず、法律、自動車、動物・植物図鑑など、難しいテーマを子ども向けにわかりやすく解説している書籍を幅広くチェックし、わかりやすい伝え方の型をインプットしました。

さまざまな書籍を読み比べると、単に漢字を減らしたり、言葉を短くしたりするだけではないことが分かります。

  • 子どもにとって身近な場面を例に挙げる
  • 1テーマの中で扱う要素(焦点)を絞る
  • 抽象的な仕組みを具体的な動作へ置き換える
  • 子どもが知っている言葉と結びつける
  • 文章だけで説明しすぎない

こうした表現の型を、企画と構成へ取り入れました。

特に意識したのが、文章と挿絵の役割分担です。
文章には「その仕組みの説明」を担わせ、挿絵にはシチュエーションイラスト(たとえ話)を見せる役割を持たせました。

挿絵の面積を十分に確保することで、文章のわかりやすさだけに頼らず、誌面全体で理解を助ける設計です。

これは、原稿が完成したあとに「空いた場所へイラストを入れる」という考え方では実現できません。

企画・構成案の段階から、

  • 何を文章で説明するか
  • 何をイラストで見せるか
  • 1つの見開きの中で最も伝えたいポイントはどこか
  • 次のページへどのようにつなぐか

を決めています。

子どもたちに楽しく読み進めてもらうには、情報の正確さだけでなく、読むときの負担や興味の持続まで考えなければなりません。

このように「誰が読むのか」を起点にすると、文章量、言葉選び、図版の大きさ、ページ構成まで変わります。

編集プロダクションは、企画を「読者ファースト」へ変える

出版社から編集プロダクションへ制作の相談が持ち込まれる段階では、すでにテーマや著者が決まっていることもあります。

企画書や章立てが、ある程度固まっている場合も多いものです。
しかし、その状態から制作を始める際にも、編集プロダクションは内容をそのまま受け取るだけではありません。

誰に向けた本なのか。
読者の悩みと各章の内容がつながっているか。
情報の順番は理解しやすいか。
文章、写真、図解をどう分担するか。
制作に入る前に、企画と構成を読者の側から見直す役割があります。

株式会社ジー・ビーでは、健康本、レシピ本、ビジネス書、ムック、児童書など、多様なジャンルの書籍制作を手掛けてきました。
年齢や関心、前提知識の異なる読者へ向けて、たくさんの本を形にしてきた経験があるため、「どんな読者がどんな内容を求めているのか」というノウハウが蓄積されています。

企画・構成案の価値は、項目がきれいに並んでいることではなく、読者がページを開き、理解し、最後まで読み進められる形になっているか。
それを考え続けることが、その本の強い土台になります。

まとめ|企画・構成案は、読者への届け方を決める工程

書籍の企画・構成案では、著者の魅力や市場性と同じくらい、読者の視点が重要です。

「誰が読むのか」によって、コンテンツの種類や説明の深さは変わる

台割は、情報の順番と見せ方を設計する本全体の設計図

文章、図版、写真を、意図を持って使い分けて読みやすさを向上させる

株式会社ジー・ビーでは、書籍やムックの企画整理、章構成、台割作成から、取材、執筆、デザイン、校了まで一貫して対応しています。
企画案はあるものの、読者像や構成が固まっていない段階から伴走できますので、ぜひ一度ご相談ください。

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この記事の監修者
株式会社G.B.

株式会社G.B.

雑誌・書籍・ムックの編集・出版を中心に、
その他にも広告媒体の企画・編集・制作著作権の管理・運用、翻訳、その他上記に付帯する一切の業務を行う。

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